孫社長の講演はブランド戦略の一部か

11日にワシントンD.C.で講演したソフトバンクの孫社長が、再びアメリカで講演するようです(ソフトバンクの孫社長、米サンアントニオで27日に講演)。去年の今頃は日本で「繋がりやすさ」や「ダブルLTE開始」のプレゼンテーションをしていたことを考慮すると、やはり気持ちはアメリカ市場に前のめりってところでしょう。

このアメリカでの講演はT-Mobile買収の世論形成を目的としていると報道されています。しかし買収へのハードルは高く、競争環境を守る上でかなり難しくなっている印象です。そのためソフトバンク(Sprint)は軌道を修正し、講演を通じて企業のブランドイメージを確立しようとしているように見えます。もちろん最終的にはT-Mobile買収を目指しているでしょうが、急いで買収という雰囲気ではなくなっているのではないでしょうか。

ソフトバンクが想定するストーリーを妄想してみます。

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講演やテレビ番組で多少挑発的な文言を交えながら大手企業による寡占市場の弊害を訴える。そして自社がその弊害を打破する第一人者であると印象づけ、大手2社に不満を持つユーザーの支持を集める。

そして1年後、講演で言った通り、ソフトバンクの努力でこれだけ良くなったとデータを提示してソフトバンクに否定的ではないものの様子見していたユーザーへの支持拡大を目指す。

孫社長は声を荒げて「ここで我々が1年前言ったことは「夢物語」とバカにされた。しかし今、これだけ達成できた。そして次の1年で残りのこの部分を達成する。有言実行だ。そして残りの夢を達成するためにはT-Mobileとの経営統合が必要だ」と訴える。

その後、T-Mobile買収やインフラ整備で「通信環境が一気に改善した」と強調して、今は批判的に見ている人たちへの支持拡大を目指す。

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まさに日本で成功した方法をそのままアメリカに持ち込んで勝負しようと考えているように見えます。この勝負、これから1年、2年でSprintに実績を伴った改善があれば成功するでしょう。T-Mobileについても短期的な買収は無理でも、実績を背景として世論を形成していけば不可能ではないと思います。

企業活動として、また社長の立志伝として、ソフトバンクの挑戦は非常に興味深いです。

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