いま思うと携帯電話市場は4社体制がよかった

携帯電話(通信)市場はソフトバンクやイーアクセスの参入、さらにはソフトバンクのイーアクセス買収などでこの10年で市場の姿が大きく変わりました。ソフトバンクの参入で通信料金は大きく下がり競争は消費者にもメリットをもたらしました。ソフトバンクは価格を下げたことで、契約者を獲得しただけでなく、業界の風雲児という立場を手に入れ、そのイメージもさらなる契約者獲得を後押ししました。

しかし、近年ソフトバンクは国内市場で攻めの姿勢を見せません。ソフトバンクはiPhoneの料金プランを最後に発表するものの、結局出てくるのは他社と横並びというのが続いています。さらによくわからないプランを発表するなど、一時期の価格破壊の風雲児というイメージが薄れつつあります。

それもそのはずで、ソフトバンクは既に多くの契約者を抱え、安定した収益構造の確立に成功しています。敢えて値下げしてユーザーを一気に増やす必要がありません。参入当初は契約者数を一定数確保しなければ収益構造が構築できなかったので、値下げ競争で攻めていただけということです。この価格的に攻めなくても儲かる、というのはドコモもKDDIも同様で、市場は奇妙な平衡状態に陥っている気がします。

本来ならここでイーアクセスが第二のソフトバンクとなって業界を掻き混ぜる役を担うべきでした。もしソフトバンクに買収されていなければ、昨年のSIMフリーiPhone発売でイーアクセスも競争の舞台に上がれていたでしょう。契約者獲得のために高止まりした料金体系に一石を投じて攻めに出たと思われます。そう考えるとイーアクセスが買収されたことは消費者にとってマイナスだったかもしれません。

同じことが今アメリカ市場でも起ころうとしていますが、3社体制は企業経営に安定をもたらすが、競争は緩くなるという日本の事例は参考にされるかもしれません。

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