アロラー副社長の退任、孫社長はどう説明したのか

ソフトバンクグループは株主総会前日になってアローラ副社長の退任を発表しました。通常、取締役の選任は株主総会での議決事項であり、このタイミングでの退任発表は異例です。異例の人事を孫社長は株主総会の場でどう説明したのでしょうか。

株主総会

副社長の期間がもったいない?

昨日の退任発表後の報道によれば、孫社長がもう少し長く社長として経営に携わりたくなったため、アローラ氏が当面副社長のままになることが同氏のキャリアにとってマイナスと判断したとのことでした。確かに副社長の期間が長くなるのはキャリアパスとしてあまり良くないかもしれませんが、これは実質的な解任をオブラートに包んだ表現だと思います。

選任議決

ブログ記事にも書きましたが、孫社長とアローラ副社長の間に投資戦略(グループ戦略)において解消不可能な大きな隔たりができたと考えるのが自然でしょう。

アローラ氏、孫社長の説明は

この実質的な解任劇について孫社長、アローラ副社長はどのように説明したのでしょうか。

アローラ副社長

アロラー氏は「投資先の株式売却を通してここ6週間で180億ドルのキャッシュフローを生み出した。今後のソフトバンクの成功の基盤を作れたと自負している。孫社長が最近行った投資先の若い創業者に合う中で、経営に対する情熱を取り戻したと思う(社長を続けたくなった)」と株主総会の冒頭で挨拶しました。

孫社長

加えて孫社長は「私はもう少しやり残したことがある。Singularity(特異点)を迎える時期に、まだやりたい最低5年、おそらく10年近くはやりたい。本当は60歳の誕生パーティーでニケシュにバトンを渡そうと考えた。しかし60歳まであと1年になっちゃった。欲が出てきてしまった。」とアローラ氏の退任について説明しています。報道の範囲をこえるものではありませんが、孫社長に大きな気持ちの変化があったことが伺えます。

最近ソフトバンクの国内事業には勢いに陰りが出ています。しかし数年前まではiPhoneといえばソフトバンクというイメージ作りに成功し、国内のモバイル通信市場を席巻しました。これもいち早くiPhoneに目をつけ、Appleとの深い関係を演出し、iPhoneだけに注力した孫社長の功績です。孫社長が経営の前線にこれからも居続けることで、このような大胆な経営が国内事業にも戻ってくれば面白いかもしれません。

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