ソフトバンクのARM社買収に対する様々な評価

ソフトバンクは事前に伝えられていた通り、英国のARM社を買収することで合意しています。買収額は3.3兆円とされており、買収額だけを見ても超大型買収となりました。過去にはAppleが買収するとも噂されたARM社の買収、市場や業界にはどのように評価されているのでしょうか。

ARM

株式市場はマイナスに評価

ソフトバンクにとって、今回の買収はボーダフォン・ジャパンスプリントに続く大型買収であり、その過程で積み上がっている有利子負債は約12兆円になります。その状況下で3.3兆円の買収資金を調達する必要があり、アリババ株売却などを通して財務状況が改善するとの市場の期待を裏切った形です。

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結果としてソフトバンク・グループの株価は先週末の終値に比べて10%以上下落して午前の取引を終えています。株式市場は今回の投資を「大きな、そして安全ではない賭け」と評価したと言えそうです。

シナジーに期待の声も

ソフトバンクはARMの持つ半導体技術(ライセンス)が世界中の全てのものがインターネットにつながる「Internet of Things時代」に大きな影響力を持つと判断しています。そのためソフトバンクのインターネット・通信事業との相乗効果(シナジー)が期待されます。今回の買収を評価する声の多くも、このシナジーに期待しているものです。

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しかしソフトバンクの既存事業とIoTはまだ現実的につながっていません。また今までにソフトバンクが率先してインターネットサービス、モバイル通信をARM社の事業と繋げていくような事業を展開したこともありません。そのため両社の事業でシナジーを狙った買収との評価には否定的な意見も多くあるのも事実です。

純投資としての意味が強い?

IoT時代は確実にきます。その時代にARM社は中心的なプレイヤーになる可能性を秘めた企業の一つであることも間違いなさそうです。その意味でARM社には成長余地があり、企業価値は上昇する可能性を秘めていると考えられています。

孫社長

ただその価値が買収額の3.3兆円に達するのか達しないのか、それはソフトバンクがいかにしてIoT時代を切り拓けるかにかかっているのでしょう。ソフトバンクにとってさらなる試練が眼前に現れた形です。

しかし3.3兆円で大博打を打った形の孫社長の情熱(そして資金)が再建途上のスプリントからARM社に向いてしまうのは、グループ全体としてデメリットになるような気がしてなりません。これにはWSJも懸念を示しています

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