アメリカ、オーストラリア、イギリスで提供されているAppleのNewsアプリは徐々に利用者数を増やしているものの、ニュースを提供する側の収益向上に貢献しているとは言えない状態が長く続いています。そのため今回、Appleは記事内にサードパーティーが配信する広告を掲載できるように改め、パブリッシャーの収益機会の拡大を目指します。
iAdの収益性が低すぎた
Newsアプリに配信する記事には、パブリッシャーが自身で営業して獲得した広告とAppleが自動で入れる広告が表示されます。しかし前者はかなり規模の大きなメディアにしかできず、中小パブリッシャーはAppleが自動で入れるiAdからしか収入が得られません。iAdが活発な広告プラットフォームとして機能しているなら問題ないのかもしれませんが、iAdはほとんど表示されていないのが現状です。
Newsの記事内に表示される広告は閲覧者の趣味、居住地域、年齢ごとに細かく配信するターゲットが選択できます。もともと広告自体が少ない上に、ターゲットを厳選していることで表示される機会はさらに少なくなってしまっているのではないかと推測します。僕が配信しているNewsチャンネルでは「1万PVで200回の広告表示」という惨憺たる広告掲載率です。Newsアプリに記事を配信して広告でまとまった収益を得るのは至難の技です。
パブリッシャーの離反を防げるか
今回の広告掲載についての方針転換は心配されているパブリッシャーの離反を防ぐ意味合いが強そうです。既に撤退を決めたパブリッシャーもちらほらあるようで、離反が続けばNewsアプリは存亡の危機に陥るでしょう。それを防ぐ上で、最も重要な収益性の改善が必須だったのは明らかです。
収益性が上がれば、昨年末時点で7000万人とされるNewsアプリのアクティブユーザーに直接情報を届けられるプラットフォームはかなり魅力的になるはずです。Newsアプリのデザイン性や表示速度を損なわないようにバランスをとりながら、広告掲載の自由度を上げて欲しいところです。