2015年のWWDCで発表され、iOS 9から使えるようになったAppleのNewsアプリは現在英語圏(アメリカ、イギリス、オーストラリア)で利用可能です。Newsアプリは多くのユーザーを集めている反面、配信メディア側の収益性は低いとされ、大きな問題となっています。それを改善するためAppleは広告配信の自由度を高めると同時に少額決済を利用した有料記事配信も可能にすると伝えられています。(Apple News May Let Publishers Sell Ads Their Own Way)
ユーザー数は膨大、広告収入は…
現在、AppleのNewsアプリのアクティブユーザーは8,000万人規模だと推定されます。これだけの規模の読者層に情報を届けられるのはメディアとしては魅力的です。確かにメディア側もNewsアプリに配信した記事へのアクセス規模は認めているようです。しかしこのアクセス数が収益に繋がらない問題は長くメディア側を苛立たせています。僕もNewsアプリ向けに細々と記事を書いているのですが、6月の実績で1000PVあたりの収益は50円程度で、全くダメと言っていい水準です。
大手メディアがNewsアプリから撤退したこともあり、収益性の低さへの不満がかなり広がっていることが確認されました。Appleはこのメディアの離反を防ぐため、すでにサードパーティーの広告プラットフォームを利用可能にしたのですが、それ以上の収益性確保に向けた取り組みへと進むようです。
有料記事とGoogle
Newsアプリの記事は現在すべて無料で読むことができます。そのためメディア側のマネタイズ手段はほぼ広告収入に限られています。一部で有料記事への誘導などで収益機会を作っているメディアもありますが、それでもNewsアプリの収益性は低いままです。その問題を解決するため、有料記事を設定できるようになるとAdvetisingAgeが伝えています。記事にはマイクロペイメントを利用すると書かれているので、月額課金ではなく1記事ごとの販売になる可能性が高そうですが、それでもメディア側の収益性は上がりそうです。
またGoogleのDoubleClick for Publisherのような広告配信技術をNewsアプリにも導入するとも伝えられています。おそらくApple独自のものではなくDoubleClick for Publisherがそのまま使えるようになるのではないでしょうか。これで記事に掲載される広告はかなり充実するはずです。今は配信される広告数がかなり少なく、これが収益性向上を妨げています。DoubleClick for Publisherの採用でその問題を解決できるかも知れません。
Newsアプリはサービス開始からまもなく2年が経過します。未だに英語圏だけでのサービスにとどまっているのですが、そろそろ日本でもサービスを開始して欲しいところです。