iOS 12でiPhone、Apple WatchのNFC利用がより自由に?

現在、Apple Payごく一部の用途にしか使えないiPhoneやApple Watchに搭載されているNFCですが、iOS 12からはこの用途が広がると報道されています。iOS 11やwatchOS 4でもApple以外の開発者がNFCを使える範囲が広がったのですが、あまり実用的な自由度拡大ではなかったので、iOS 12での改善には期待したいと思います。

GymKitや読み取り専用に利用

現在、Apple Watchに搭載されているNFCを利用してジムのトレーニングマシンとApple Watchをマシンにかざすだけでペアリングする機能が提供されています。またiPhoneでの電子タグの読み取りにも使え、店頭のタグをiPhoneで読み取り、アプリ内で商品の詳細を表示するといったことも可能になっています。ただこれら用途はNFCが持つ可能性のほんの一部に過ぎず、NFC搭載のiPhoneやApple Watchが登場した時に期待されていた機能とは程遠いのが現実です。

思い起こせば初代Apple Watchが発表されたイベントでは、搭載されたNFCがApple Payによる支払いだけでなくホテルのキーとして利用できると具体的なホテルチェーンの名前を出したプレゼンテーションがありました。しかし実際にこのホテルチェーンがiPhoneをホテルのカギとして使えるようにした時、使ったのはNFCではなくBluetoothを使ったものでした。Appleが内臓NFCの利用を制限したためと考えられていますが、iOS 12でようやくこれらのプロジェクトが動き出すことになるのでしょう。

日本ではSuicaでできる

iPhoneに内蔵されたNFCを様々な用途への応用が進めば、日常生活は非常に便利になるでしょう。しかし想定される用途の大半は日本でApple Payのカードとして登録されたSuicaを使うことで可能になっています。iPhoneをホテルのカギや会員証として利用する方法も一部のホテルでSuicaを利用することで可能になっています。また同様にSuicaを使ってコインロッカーの利用レンタサイクルの利用、博物館の入館管理などが可能になっており、iPhoneやApple Watchでも使えるよになっています。

さらに家庭やオフィス向けにもSuicaを利用して施錠、開錠するシステムが販売されており、AppleがiOS 12で目指すことの多くが日本では既にSuicaを使うことで可能になっています。しかしこれらSuicaを使った応用例が広く普及している状況ではないのも確かです。AppleがiPhoneに内臓されたNFCの用途を拡大させることでNFC利用の認知度が上がり、応用例が徐々に増え、ゆっくりと便利な社会になっていくと考えています。