Siri Shortcutsアプリのデザインは盗用?スタートアップ企業が提訴

WWDCの基調講演で発表されたiOS 12の最も重要な新機能「Siri Shortcuts」に災難が降りかかっています。同アプリのアイコンはSiriのイメージカラーとタスクが複数重なることをイメージしてデザインされたと思われますが、そのデザインがある企業のロゴに酷似していると訴訟が提起されました。(Startup seeks $200K from Apple in cash grab lawsuit over ‘stolen’ Siri Shortcuts logo

似ているか、似ていないか

ブロックチェーン技術関連のスタートアップShift社は自社のロゴとSiri Shortcutsのアイコンのデザインが酷似しているとして20万ドルの賠償金をAppleに請求しています。同社によると企業のロゴを再デザインするための費用として請求しているとしていますが、このロゴが「酷似」しているかは意見が分かれるところではあります。

確かにAppleとShiftでは企業規模や地名度が違い、仮にAppleが知的財産権を侵害していたとしてもShift社がAppleの真似をしたと捉えかねられません。真相は明らかにされるべきでしょう。ただロゴが酷似しているとは言えないだけでなく、Appleがわざわざ盗用するとも思えず、裁判はShift社に不利な展開になるのではと考えます。

Appleと知的財産権

Appleは過去に知的財産の権利者と時には争い、時には正式に契約して事業を展開しています。有名なのはビートルズが設立した「アップル・レコード」との訴訟です。何度も裁判を経る中で、Appleが音楽関連事業に進出しないことを確約して和解に至りました。ただAppleはiTunesで音楽配信事業を開始するなど、音楽と密接に関わって事業を展開します。そのことでさらなる争いに発展し、多額の金銭がアップル・レコードへと支払われました。もちろんこの争いは対立から融和へと進み、iTunes(Apple Music)でビートルズの楽曲が配信されるに至っています。

また日本ではiPhoneの名称がアイホン株式会社によって商標登録されています。そのためAppleは日本でのiPhoneの名称使用のため、アイホンに対して使用料を支払っています。使用量は一説には年間1億円(有価証券報告書からの推計)とも言われており、さらにiPhoneと表記されるサイトには「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。」との脚注がつけられています。