ソフトバンク決算、最大のサプライズは「後継指名」

今日、ソフトバンクの決算説明会が開催されました。決算の数字は悪くないものの、iPhoneの独占が崩れた携帯電話事業は契約純増数の伸び鈍ってきており、曲がり角に差し掛かっている印象です。ただそれ以上にアリババなどの数字がよく、全体として好調な決算になったのではないでしょうか。

しかしこの程度の事業報告は予想の範囲内でした。今回の報告会で一番驚かされたのはソフトバンクの孫社長がニケシュ氏をソフトバンクグループの後継者として指名したことでした。

どれだけ優れた経営者でも後継者を指名するのはなかなか難し仕事です。会社を一代で大きくした人は特に、後継者問題で醜態をさらし、晩節を汚してしまうケースが目立ちます。また後継者を指名せずに、いつまでも現役でいようとする経営者も会社を衰退へと導きます。孫社長はしっかりとした後継者を指名して、そうした失敗の芽を潰したのでしょう。このあたりは流石です。

ただニケシュ氏の経歴(元Googleの役員)から考えると、ソフトバンクグループは通信からインターネットへと事業の比重を移していきそうです。ソフトバンクはヤフーの成功でインターネット企業としての地位を確立し、次はYahoo! BBとソフトバンクモバイルで通信企業として確固たる地位を築いた同社が、改めてインターネット企業として成長を目指していくのでしょう。

そうなると通信企業としてソフトバンクに期待できることが少し減りそうです。今までもVoLTEやキャリアアグリゲーションの開始など、通信企業として大々的に発表するようなことでもWebサイトで告知するだけだったですが、今後もこのような傾向は続きそうです。通信企業としてのソフトバンクに注目しているだけに、この傾向はあまり嬉しくはありません。おそらくiPhone販売でもソフトバンクが率先して競争を仕掛けるような時代は過去のものになってしまったと思われます。