16日の東京株式市場は全体的に軟調な推移を見せ、その影響でドコモ株は0.05%値下がりして取引を終えています。一方でソフトバンク株は2.5%の大幅下落となり、この結果2013年中頃にソフトバンクが時価総額でドコモを上回って以来、約1年半で再びドコモの時価総額(8.35兆円)がソフトバンク(8.2兆円)を上回ることになりました。
ドコモとソフトバンクの時価総額が逆転した2013年中頃の状況はソフトバンクがスプリント買収計画を進め、アメリカでの事業拡大で成長を成し遂げると豪語していた時です。一方のドコモはiPhoneの取り扱いを始めたものの、契約数の増加が思うように進まな位状況にありました。
国内外で攻勢を強めるソフトバンクと国内で苦戦するドコモは対照的な存在としてよく比較されてもいました。しかし再び時価総額が逆転したことで両社の評価も変わってくるのではないでしょうか。
2014年に入ってソフトバンクはT-Mobile USの買収に失敗し、米国での拠点を縮小します。またスプリントは思うように再建が進まず、ソフトバンクは営業利益1兆円の目標を9,000億円に下方修正するなど、業績・株価ともに思うように推移しない状況となりました。さらに通信事業者としてもプラチナバンドのLTE整備は遅れ、VoLTEにも積極的な取り組みをしているとは言えません。同社が取り扱う新機種も少なくなっており、株価低迷の要因になっているのかもしれません。
一方でドコモも2014年はそれほど順調ではなく、新料金プランへの移行が業績を押し下げていました。ただアベノミクスによる株高の波にうまく乗って時価総額を上昇させて今日の逆転につなげた格好です。ドコモは新料金プランで業績を押し下げてはいるものの、一連の新料金プラン競争では価格決定権を取り戻しています。また通信事業者としてVoLTEをいち早く取り入れ、LTEの高速化にも積極的となったように、攻めの姿勢も目立ちました。これらの状況も時価総額でソフトバンクを再逆転した遠因になっていると思われます。