Apple TV+は質重視(コンテンツ数はそれほど多くない?)

Appleのサービス担当副社長であるエディー・キュー氏はこの秋に始まるApple TV+ではコンテンツ数ではなく、コンテンツの質を重視するとメディアの取材に対して説明しています。最大のライバルであるNetflixは質は「まあまあ」で量を重視する戦略を採っていますが、Apple TV+は真逆の方向へと進むようです。

少数精鋭のコンテンツ

動画コンテンツの月額定額制サービスで最も勢いのあるNetflixは大量の既存コンテンツとオリジナル動画を多数揃えて、その中からユーザーの好みに合うコンテンツを表示し、利用者がいつでも好きな動画にアクセスできるようにしています。人によって好みは様々であり、多くの人を満足させるにはこの方法がベストなのは間違いありません。あるユーザー層に高評価を受けているコンテンツも、あるユーザー層には全く評価されない、そんな動画がNetflixには大量に揃えられているとも言えます。

Apple TV+はこの真逆の戦略を描いているようです。エディー・キュー氏はNetflixの大量のコンテンツを揃える戦略の長所を理解しているとも話していますが、少数の質の高いコンテンツを揃えることがApple TV+の方針だと述べています。

長期的な戦略か

確かに後発組であるApple TV+にNetflixのようなコンテンツ数を短期間に揃えるのは不可能に近く、少数精鋭コンテンツで戦うしかないという事情もあるでしょう。数は少なくても質の高いコンテンツを揃えれば、一定の視聴者が集まるのは確実です。ただNetflixのような大成功を収めるのは難しい気はします。一つのコンテンツが失敗すれば、サービス全体の評判を落とすことにもなります。実際、Appleは過去にオリジナル動画コンテンツを作りましたが、あまり評判は良くなく、動画コンテンツ事業が迷走する事態に陥りました。

Apple TV+のサービスはApple TVアプリの一部として提供され、TVアプリとiPhone、iPadの販売と組み合わせた全体でAppleの収益になるように設計されているのかもしれません。この戦略がうまくいけば短期的には苦戦しそうですが、中長期的には動画配信プラットフォームで一定の地位を得ることは可能だと考えます。