審査の緩いApple Card、スティーブ・ジョブズ氏の意向を反映?

先週から一部顧客から順次受付の始まったApple Card審査が緩いとの報道が相次いでいます。この緩い審査の根本にはAppleが過去にクレジットカード事業を始めようとした時のスティーブ・ジョブズ氏の考えが影響していると言われています。

Appleカードの承認を100%に

クレジットカードサービスは収入や返済履歴を考慮して契約者を選別する必要があるため、どうしても申し込みした人全員にカードを提供することはできません。この選別がユーザーを拒否することにつながり、Appleのブランド価値を毀損すと危惧され、過去にAppleがクレジットカード事業を始めようとした時(過去に3回あったと言われています)の最大の問題になりました。スティーブ・ジョブズ氏は当時、ユーザーを拒否せずクレジットカードの承認率を100%にすることを望んだとの話も残っています。

そのためクレジットカードを発行する銀行との交渉はまとまらず、サービスが提供されることはなかったのですが、今回のゴールドマン・サックスによるApple Cardサービスはスティーブ・ジョブズ氏の意向を最大限に汲み取った審査体制が取られているとされます。Appleは1億人いるiPhoneユーザーのうちできるだけ多くApple Cardが承認されるような審査基準をゴールドマン・サックスに求めているとされます。

日常生活用のカード

こうしたAppleの方針はApple Cardサービスの方向性も示しています。クレジットカードサービスはカード保有自体をステータスとするようなブランディングを行うことが多く、そのカードを持っている人は高級飲食店、デパートでの買い物、旅行先や空港で優遇されると言ったサービスを提供していることが多くあります。これもクレジットカードの差別化の一つなのですが、Apple Cardはこのような差別化の土俵には上がらないようです。

iPhoneユーザーの多くにカードを提供することを目標としていることは、すべての人の日々の生活を便利に、そして少しお得にという方向になることを意味しそうです。空港のラウンジに入れることよりも日々の支出管理の便利さを、ホテルの部屋をアップグレードしてもらうよりも日々のポイントバックを、そんな使い方を目指していくのでしょう。それでもAppleというブランド力を背景にクレジットスコアの高い人たちがApple Cardに移動していけば、カード業界全体を変えるきっかけになるかもしれません。