スプリント株急騰 ソフトバンクの巨額減損の危機は一旦遠ざかったか

ソフトバンクが買収したスプリントの株価がここ数日急騰しています。一時、スプリント株急落の影響でソフトバンクの含み損は1兆円を超えていましたが、現時点でその額はおよそ半分にまで縮小しています。

3月3日時点で含み損は5,531億円

一時2ドル台前半まで株価を下げていたスプリントですが、店舗網の拡充などがプラス材料となり株価は3.7ドルまで回復しています。

この回復に伴ってソフトバンクが保有するスプリント株の含み損も大幅に減少し、一時1兆円を超えていた含み損は3日時点で5,531億円に減っています

支配権プレミアムは30%

ソフトバンクは保有するスプリント株の市場評価額1兆4,167億円に、支配権プレミアム30%を加算して資産価値を判定しています。その結果、ソフトバンクが保有するのスプリントの資産評価額は1兆8.417億円となります。

取得原価は追加取得分を含めて約2兆円であり、簿価と時価の差は1,500億円程度まで縮小していると考えられます。3月末の年度決算で巨額の減損処理を迫られる危険性が一歩後退した可能性が出てきました。

株価は不安定

しかしスプリント株はここ数ヶ月、急騰と急落を繰り返しています。3月末まで株価が不安定な状態が続けば、再びソフトバンクが巨額の含み損を抱える局面も想定できます。

スプリントの経営改善はまだまだ道半ばであり、孫社長が胸を張るほどのものではない印象です。衛星通信を使ったLTEのエリアを拡大する試みは、快適な通信を全米に提供するとしていた孫社長の「大風呂敷」とは懸け離れた施策です。

iPhone販売がアメリカでも苦戦する中で、そもそも携帯電話キャリアが儲かっていく環境が続くのかも不透明な状況です。本当にスプリントの経営が上向いていくのか、もう少し見守る必要はありそうです。