ソフトバンク傘下スプリントの株価が再び危険ゾーンに

ソフトバンクの米国進出は苦難の連続です。先月末にスプリントの株価は一気に下落しました。下落局面では一時2.18ドルを記録するなど、スプリントだけでなく本体のソフトバンクにまで悪影響を及ぼす水準に達していました。

その後、スプリントは決算発表を前倒しし、アナリストの予測よりも赤字幅の小さい決算を発表し、株価は3ドルを回復することに成功しています。

しかし3ドル台も長続きしていません。米国株全般の下落を受けてスプリントの株価はそれ以上に下落してしまっています。2日のニューヨーク市場での終値は2.77ドル(前日比9.6%安)となり、再びソフトバンクグループが巨額の減損処理を意識する水準になってしまいました。

このスプリントの減損処理は一体どの規模になるのか、よくわからないというのが実情のようです。今のソフトバンクの不安点を簡素にまとめた「ソフトバンク、株価下落も割安感なし(検索結果へのリンク)」のWSJの記事でよくわかります。

単純に昨年2月の決算報告会で孫社長が言っていた基準「スプリントの株価に30%の支配権プレミアムを付加した額」をスプリントの評価額とするなら、2日時点での評価額は1兆4,223億円となります。この額と取得額(1.97兆円)との差額はマイナス5,467億円ですが、これをそのまま減損処理してしまうと、ソフトバンクの利益は半減してしまう計算です。本当にこれだけ巨額の損失処理ができるのでしょうか。

それとも別の評価方法を採用して減損処理を回避(評価基準は複数あります)するのでしょうか。その点の不透明さがソフトバンク株の不安定さにもつながっているのではないでしょうか。iPhone 5s発売の頃からでしょうか、投資事業に興味が移っている印象の孫社長ですが、今の状況をどのように説明をするのか、ソフトバンクグループの10日の決算発表は注目です。