孫氏、ヤフー会長退任の意味とは

本日ヤフーは孫正義会長の取締役への異動と、ニケシュ・アローラ氏の会長就任の人事を発表しました。代表取締役社長は今まで通り宮坂氏であり、現在のヤフーの経営陣が大きく変わるという状況ではありません。しかしソフトバンクグループ総帥である孫氏がヤフーの会長から退き、実質的な後継者が会長に就任したことには意味がありそうです。

ヤフーの川邊副社長はニケシュ・アローラ氏について、インタビューで「異常に頭がいい。ピンポイントで痛いところ、聞かれたくない数字を聞いてくる。答えると『終わっている。どうするのか』と突っ込まれる」と答えています。おそらくヤフー経営陣への参画は既に準備されており、今後はヤフーの経営方針の一部(おそらく海外戦略やM&A戦略)はアローラ氏が担当するのではないでしょうか。

先日の決算説明会でソフトバンクの孫社長は、グループを再びインターネット企業として成長させると明言しました。ここ数年は通信企業であるソフトバンクモバイルがグループの成長をけん引してきましたが、再びヤフーが成長を担う企業になるのでしょう。その企業の会長にアローラ氏が就任したのは、やはり成長分野に最重要人物を配置した結果と思われます。

iPhoneの独占販売で成長し、グループ全体の規模拡大に貢献したソフトバンクモバイルもここ最近は成長力を弱めています。ソフトバンクモバイルも孫氏は社長を退き、後任の宮内氏に経営の多くを任せています。今後ソフトバンクモバイルは急成長を狙うというよりもグループ全体に安定した収益(キャッシュ)をもたらす企業へと路線変更していくのではないでしょうか。もしかしたら孫社長がいた頃よりも、面白くないキャリアになってしまう恐れはあります。

一方で後継者であるニケシュ氏が会長に就任したヤフーが成長企業の買収、海外進出などを通してグループの成長を担うと予想します。ヤフーの事業も最近は陳腐化してしまっていますが、新しいリーダーを迎えることで面白くなりそうです。