AppleのNewsアプリは発表から2年(提供開始から1年半)が経とうとしていますが、未だに開始時の3か国だけでの提供にとどまっており、一部メディアはNewsアプリ向けの配信を停止するなど、混迷状態から抜け出せていません。このような状況下で「News」は編集長としてNew York Magzineの編集者を迎え入れたと報じられています。
記事は自動と手動でレコメンド
AppleのNewsアプリは国内でも多く使われているアプリのように、自動で個人の好みにあったと思われる記事を表示します。ただこれだけだと新たな発見の機会が減ると考えられ、それを補う形でFeatured Storeisとして注目記事がピックアップされて表示されます。この注目記事が人間の手による選定だと言われています。
こうして人の手を介してNewsアプリに表示する記事を選定する(方針を決める)のが「編集長」の役割なのでしょうか。ただ、ある程度のキャリアを持った編集者が、アプリ内の一つのコーナーの記事選定のために雇われたと考えるのは少し不自然ではあります。AppleはApple Music内で独自の映像コンテンツを作成中です。この流れがNewsアプリにも波及しているとすれば、今回雇われた編集長の下でAppleのNewsチームが独自の記事を書くことを目指している可能性はあります。
Newsアプリはまだまだ発展途上であり、何を目指しているのかよくわからない部分があります。今回の編集長就任で何かが変われば、その変わった部分が向いている方向がNewsアプリの目指す方向なのでしょう。
フェイクニュース対策になるか
Appleのティム・クックCEOは米国の大統領選挙時に問題になったフェイクニュースに関して、何らかの対策を取る必要があると発言しています。そのフェイクニュースを拡散させないような仕組みの一つとしてNewsアプリの活用が考えられます。Newsアプリに記事を配信するには一定の審査があります。この審査を通っても、常に読者から内容などのチェックを受け、Appleに不適切だと判断されれば配信停止となります。
このチェック機能に加えて、編集者が個別の記事を精査することでNewsアプリで配信される記事は「信用できる」とユーザーが認識することができれば、フェイクニュースは相対的に影響力を弱めます。信頼できるメディアには人が集まります。人が集まらないフェイクニュースは影響力を低下させるでしょう。時間がかかるかもしれませんが、Newsアプリが果たせる役割はあると思っています。