Appleが顧客情報保護に熱心な企業であることは昨年のFBIとの対立でも有名です。ただ情報の種類や目的、手続きが正当なものであれば、Appleは情報を開示します。昨年、日本政府(警察、司法機関を含む)からの個人情報情報開示請求も約8割が開示されていることがAppleの資料から明らかになっています。(Report on Government and Private PartyRequests for Customer Information ←PDF)
iCloudコンテンツの開示は厳しく審査
警察からの要請や裁判所が発行した令状を元に開示請求される情報はいくつかに分類されます。iPhoneの盗難、紛失などで元の持ち主(紛失デバイスの位置)を特定するための情報に関しては日本から229件の開示請求が出され、そのうち177件についてAppleは情報を開示しています。またApple製品を購入時に不正に使われたクレジットカードなどの情報も日本からの依頼は53件中47件が開示されるなど、比較的高い開示率となっています。
ただiCloud内の情報開示についてはもう少し厳格に運用されています。日本政府から115件のiCloud情報(写真、メール、連絡先、カレンダーなど)の開示請求があり、そのうち情報が完全に開示されたものは1件のみです。コンテンツデータ以外(アカウント情報など)のみ開示が88件、開示拒否が26件とこの分野については比較的厳しく開示基準が運用されていることが伺えます。
統計の発表自体にも意味
Appleが開示請求の統計を発表するのは、情報管理の透明性を高める効果があります。各国の要求に対して恣意的に対応していないことを示す狙いもあるとみられ、顧客情報を保護するという目的の一部になっていると言っていいでしょう。また各国行政機関に対してイレギュラーな開示請求を行わないようにけん制する狙いもありそうです。
昨年のiPhone 5cのロック解除問題でも、顧客情報を守るAppleの姿勢を支持する意見が多くあったのは記憶に新しいところです。FBIの捜査に協力しないことに対しての批判があったのも事実であり、また最終的に政府機関によってロックが解除されて情報が引き出されたのですが、このようなAppleの姿勢が今のAppleのブランドを作り上げる一つの要素になっていることは間違い無いでしょう。