iPhone5→5s→6で変わるLTE

先頃日経BPが発表した大手通信キャリア3社を対象にした大規模なダウンロード・アップロードスピードテストの結果はなかなか興味深いです(「第3回全国LTE/4Gエリア調査」)。測定は恣意的な要素も絡むため、他社との比較に適しているかは判断の分かれるところですが、時系列的な比較は可能ではないでしょうか。

興味深い時系列的な比較はauとソフトバンクのiPhoneの測定結果です。前回(2013年6〜7月)の調査ではiPhone 5を使用したものでした。そのためauのプラチナバンドLTE(下り最大75Mbps)は利用できず、またソフトバンクもようやく下り最大75Mbpsエリアの構築が始まった段階でした。その結果、前回調査ではau iPhone 5は下り平均10.74Mbps、ソフトバンクiPhone 5sは同11.43Mbpsと、それほど速い結果ではありません(もちろん十分な速度ではありますが)。

しかし年が経過し、またiPhone 5sがauのプラチナバンドLTEに対応したことで、速度は一変します。au iPhone 5sは下り平均20.12Mbps、ソフトバンクiPhone 5sは同19.77Mbpsとそれぞれ2倍近い速度アップとなっています。もちろん理論値が二倍になった影響が大きく、両社ともにLTE整備を進めてきた結果が現れました。

さて、iPhoneはまもなく5sから6へと代替わりします。この代替わりでLTE速度に変化はあるのでしょうか。iPhone 6では対応LTEカテゴリが「3」から「4」へと進化すると予想され、これにより現在の下り最大100Mbpsが150Mbpsに向上します。またドコモ、auは下り最大150Mbpsエリアの構築を急ピッチに進めています(auはキャリアアグリケーションを含む)。結果としてドコモとauのLTEは現在の平均20Mbps近辺から平均30Mbpsあたりを伺うようになるかもしれません。

ただソフトバンクについてはAXGPの対応で一定の変化が予想されるものの、平均に影響するほどの変化があるかどうかは疑問です。上記グラフでもわかるように既にAXGPをメインで使うソフトバンクのAndroidの平均速度とiPhone 5sの平均速度は同じくらいになっています。そのためiPhone 6がAXGPに対応してもダウンロードスピードが上がることはなさそうです。ただより安定的な通信は可能になるはずで、通信面の進化がiPhoneの使い勝手向上につながることは間違いなさそうです。