先ほどWall Street Journalがソフトバンク/Sprint連合によるT-mobile US買収断念を報じました。(記事)
2月ごろから買収報道が具体的になり、ソフトバンクの孫社長も米国の政財界へのアプローチを加速化させていました。公式に買収提案を行ったことはありませんでしたが、公の場では常にT-mobile USについて「ノーコメント」を貫いていただけに、買収の検討はかなり具体的に進んでいるとされていました。
しかし2月以降、「近々表明」、「来月にも表明」、「7-8月にも表明」、「9月までは公式発表はなし」と買収観測が徐々に後退していたのも確かでした。さらにここに来てフランスのIliadがT-mobile USに対して買収提案を行ったことを公式に表明しており、ライバルが登場して不確実性が増した可能性があります。Iliadの買収提案はそれほど脅威ではないとも報道がありますが、やはり規制当局を納得させることを難しくする存在になるのは確かです。
買収断念はしょうがないのかもしれません。この報道を受けてソフトバンク株は大きく値を崩しています。最近よわ含みを続けていた同社株式ですが、米国事業の不透明性が増すことで業績に対する懸念につながっているのでしょう。
とはいえ、これでソフトバンクグループはSprintの再建に専念できることになります。余計な買収資金の調達も不要です。国内ではiPhone独占で築いたユーザー層で安定した収益を確保できています。この収益をSprint再建に集中的に投入できるのなら、T-mobile買収なしでも米国市場で主導権を取れる日が来る可能性はあるでしょう。