今日のソフトバンクの2013年度決算説明会はいろんな意味で面白かったのですが、気になる点が一つありました。孫社長がVoLTE時代を見据えた料金プランを取り消した経緯について語った部分です。
ソフトバンクが例のプランを取り消したの背景には、やはりドコモの「カケホーダイ」プランの影響がありました。社長自身「ドコモに劣ったプランを出す訳にはいかに」と発言しており、取り消しの大きな要因にドコモのプランがあったことを認めています。端から見ても通話時間、通話回数に制限のあるソフトバンクの「かけ放題」は、制限のないドコモのプランに見劣りしていました。それを引っ込めたのはやはりソフトバンクも「劣っている」と認識した結果でしょう。
しかしソフトバンクがすぐにドコモの「カケホーダイ」を模倣することはありませんでした。ドコモの場合は自網内、自グループ内(ドコモ→ドコモ、ドコモ→NTT東西)での通話がシェアの関係で多くなるため、通信業者間に発生する接続料が少なくて済むメリットがあります。そのメリットを十分に活かした「カケホーダイ」プランにソフトバンクは簡単に追随できなかったのでしょう。
追随はしなかったものの、孫社長は「我々なりの角度で、バランスでやっていきたい」と発言しています。そのまま完全かけ放題を模倣するのではなく、少し視点を変えて割安感、便利さを演出することを狙っているのでしょう。例えば、基本料金をドコモより下げて、1回の通話が25円(通話時間最大30分)とか、そういう料金体系を考慮しているのではないでしょうか。課金に対する考え方を変えて、単純に高い安いが比較できなくなり、また便利か不便かも比べにくくすることで、正面からの衝突を避けられるようになります。
この流れはおそらくauにも波及するでしょう。auもドコモほどシェアが高くないため自網内の通話は少なく、状況としてはソフトバンクに似ています。しかしVoLTEの取り組みが進んでいるため、多少の融通は利きそうです。そのためauの新料金プランはドコモともソフトバンクとも違った角度のものになる可能性はあります。
ドコモの「カケホーダイ」プランをきっかけに、これまでの3社横並びの料金体系が崩れる兆しが出てきました。非常に面白い動きで、自分の利用用途にあわせて柔軟にキャリアを選ぶ時代になっていくかもしれません。もちろん横並びの崩壊はiPhone販売にも影響しそうで、予約開始直前のあの緊張感が更に増していくことになりそうでうす。そういう意味でも、ソフトバンク、auの新料金プランを楽しみにしています。