Appleは先日のイベントで同社が提供する月額定額制サービスをまとめて契約すれば料金が少し安くなるサービス、「Apple One」を発表しました。ただこの料金設定が絶妙というか、不思議というか、微妙な設定になっています。
日米で価格差
Apple Oneは日本でも提供される予定であり、すでに個人プランと家族プランの価格とパッケージ内容が発表されています。またアメリカではさらに、ファミリープランにApple News+とApple Fitness+を加えたプレミアムプランも用意されています。価格は日本の個人プランが月額1,100円/アメリカでは14.95ドル、家族プランは1,850円/アメリカでは19.95ドル、プレミアムプランはアメリカのみで29.95ドルとなっています。
一般的にApple製品や同社の提供するサービス、アプリなどの価格は日本の方が少し高くなるのですが、Apple Oneは上記のように日本では少し割り引かれた料金になっていることがわかります。なぜ価格差が出たのか、これには日米両国におけるAppleの状況の違い、Apple Oneの営業戦略に違いがあるためと考えます。
料金設定を考える
日本の微妙な料金設定と日米間の価格差に一体何の意味があるのか、ぼんやりと料金とプランを見ていると何となく見えてくるものはあります。
まずアメリカのApple Oneの月額料金はどのプランでもApple Music(個人/ファミリー)、Apple Arcade、Apple News+の合計料金と合致します。そう考えるとiCloudストレージプランやApple TV+、Apple Fitness+はApple Music、Apple Arcade、Apple News+のプロモーションのためのオプションとして位置付けられているのかもしれません。(ヨーロッパ各国でも同じように価格が設定されています)
一方、日本の料金はApple Musicの料金とiCloudストレージプランの料金の合計とほぼ一致します。これはどう理解すればいいか、おそらくですがApple Arcadeがパッとしないことが背景にあると考えます。Apple Arcadeは確かに面白そうなアプリを揃えてはいるのですが、毎月お金を払って遊びたいというのはまだ少ない状態です。さらにソーシャルゲームの強い日本でApple Arcadeが苦戦しているのは容易に想像がつきます。
この日本市場で「Apple MusicとApple Arcadeの月額料金でiCloudストレージが使え、Apple TV+も楽しめる」としてApple Oneを提供するのは悪手だとAppleは考えたのではないでしょうか。結果としてAppleは「多くの人が使っているiCloudの料金+Apple Musicの料金でApple TV+とApple Arcadeが楽しめる」という意味の料金設定にしたと推測します。