テザリング開始で試されるソフトバンクのネットワーク

iPhone 5のテザリング開始まで後数日、ソフトバンクはついにパンドラの箱を開けてしまうのでしょうか。社長本人が「ネットワークを確実に運用するためのテザリング封印、そして、メドが付いたので解禁」と言ってるように、テザリングの最大の課題はネットワーク通信量です。

ソフトバンクがなぜ開始時期を遅らせたか、様々な憶測がありますが、おそらくLTE基地局の整備を待っていたのではないでしょうか。iPhone 5とiPad, iPad miniの通信の多くがそれ専用の2GHz帯のLTEに逃げてくれれば、既存3Gネットワークがダウンすることはなさそうです。

9月のiPhone 5販売直後、ソフトバンクは東京都心部でのLTE基地局整備に手間取っていました。この状態でテザリングを始めると連鎖的に3Gネットワークがダウンしていた、のかもしれません。しかし現在はLTE基地局の整備も進み、足元のデータを見ても大丈夫、そう判断してテザリングが予定通り開始されるのでしょう。

LTEの整備はauとの競争、ではなく自社のネットワーク運用の死活問題として最優先に行われた、といっても過言ではないでしょう。

ちなみに右のグラフにあるように、開始日の土曜日は普段でも昼間から大量の通信があります。規制時間帯といわれる平日の正午から13時をはるかに上回る量です。これでもネットワークが倒れないのは、各自が自宅で通信するため、通信場所が分散されているためです。ただ平日の20時頃からの通信量では分散されていても混雑するといわれています。この時間帯にテザリングによって通信量が少し増えるといきなりネットワークのスピードが低下する事態になりかねません。

これを避けるためにLTEへ通信を流す必要があり、その整備に時間がかかり、auより3ヶ月遅れてのサービスインになったのではないでしょうか。予定通り開始するので、殆どネットワーク全体のダウンという危険性はなくなったのでしょう、あとは局所的に通信量が増加することにどのように対応していくか、になると思います。

特にLTE未展開地域はテザリングの影響が大きく出やすいのではないでしょうか。