アップルのデザインを読む

Apple関連の書籍は数多あります。経営的なもの、ディバイスのマニュアル的なもの、デザインに関するもの、伝記のようなもの、本当に様々でこの会社が多くの面で人を引きつけていることの証左となっています。

で、今回読んだのが「アップルのデザイン」。サブタイトルにもあるように究極をうみ出すAppleの姿勢に迫った本です。内容は一貫していて、同社の製品細部へのこだわり、製造の常識を踏まえない設計が柱になっています。

作りやすさやコストカットではなく、要求されたデザインを達成するための図面。これは確かに製造業の常識から外れます。僕も工学系の勉強をしてきたのでわかるのですが、設計の第一義は製造の効率化、部品数の少量化なのです。でもAppleの図面はデザインをいかに忠実に再現するか、に重きが置かれ、効率やコストは一旦度外視されます。

ただし、コスト面では大量に同一の製品を製造することで大幅な削減が行われています。これはiPhoneやiPadが全世界でほぼ同一モデルで販売されていることにも現れています。

で、なぜAppleが製造業の常識を踏まえないか、それはもちろん強力なリーダーシップで製品のデザインが決められていたこと以外に、自社の工場を持たないという原因もあるとのことです。なるほど、でした。設計者は常に製造部門の顔色をうかがい、設計するものです。それがないAppleが強く支持されている、ってのは日本企業にとっては非常に脅威なことだと思います。

デザイン云々の話以外にもなかなかためになる本でした。