AppleのShazam買収って実は戦略的だった?

Appleは昨年末に音楽検索サービスを提供するShazamの買収を発表しました。しかしShazamが英国企業であることから買収には欧州委員会の承認を受ける必要があり、この手続きが進んでいないため買収完了が遅れています。

Shazamの持つ貴重な情報

Shazamは流れている音楽をアプリなどで聞き取って、その曲名や歌詞を教えてくれるサービスです。Siriの機能としても装備されており、Siriに音楽を聴かせると、その曲名を答えてくれるのもShazamの機能を利用しているためです。またSpotifyなどの音楽配信サービスでもShazamの機能を取り入れたサービスが提供されています。

必然的にShazamには人々がどんな音楽に興味を示しているか、どの楽曲への注目度が上がっているかなどの情報が蓄積されるようになります。この情報をAppleがApple Musicのプレイリスト作成などに利用すればApple Musicの魅力はかなり上がるはずです。これだけでなく、Shazamから楽曲を購入するようなユーザーに対して、Apple Musicへの加入を促すようなプロモーションを打つことも可能になるかもしれません。

AppleによるShazam買収は単にSiriApple Musicをさらに深く提携させるだけでなく、音楽聴取データを広く集められるというもう一つの目的があったのかもしれません。

欧州委員会がストップ

このAppleによる情報の独占、サービスの独占を懸念し、欧州委員会がAppleによるShazam買収にストップをかけています。この買収が公正な競争に悪影響を与えないか、最大90日間の調査を実施するとしています。調査が終わるまで、Appleによる買収手続きはストップすることになり、当初のAppleの戦略は修正を余儀なくされるでしょう。

ヨーロッパで誕生したSpotifyを守るための動きのように見えなくもないですが、Shazamが単なる曲名を教えてくれるサービスだけでなく、情報を広く収集できるサービスであり、これを独占することで公正な競争が阻害されるのは事実でしょう。Appleも実際は曲名を教えるサービスではなく、アプリが持つ情報が欲しくて買収しようとしているような気もします。