都市伝説「iPhoneの販売ノルマ」は実在した、ただし実態はなかった

本日、公正取引委員会がAppleのiPhone販売について独占禁止法に抵触するか否かの審査結果が発表されました。複数の点において審査された結果、疑わしい部分があったものの公正取引委員会からの指摘の段階でAppleが問題になりそうな点を是正したことから、独占禁止法違反に当たらないとの結論を得ています。

iPhoneの販売ノルマ

今回問題になった事案の一つが「iPhoneの販売ノルマ」です。ソフトバンクとauがiPhone販売でしのぎを削り、そこにドコモが参入してiPhone販売市場が一気に盛り上がった時、各社はAppleからのiPhoneの台数割り当てで有利になるように、より多くのノルマをこなす必要があったと噂されていました。そしてこの噂は一人歩きしだし、販売ノルマの噂はAppleの強権的な販売策の代名詞ともなっています。

公正取引委員会の審査の結果、ノルマはあったことが確認されました。噂のノルマは実在したわけですが、その実態は噂とは大きくかけ離れていたようです。各社は調査に対して「一時期ノルマはあったものの、ノルマを達成できなくても不利な扱いを受けたことがない」、「達成義務がないと明記された目標があっただけで、ノルマはなかった」、「一時期を除いて具体的に数量を明記したノルマはなかった」との趣旨の回答しています。

上記回答から一時期、具体的な数量を明記したノルマがあったのは確かなようです。しかしそのノルマを達成しなくても不利な扱いがあったわけではない、実際にはノルマと言えるものではなかったようです。

購入補助金は是正で対応

一方、公正取引委員会はAppleと通信キャリアの間で結ばれていた契約の中で、キャリア側の負担で購入補助金を出す部分に関しては競争を阻害する要因になるとの認識を示しています。この問題についてAppleはすでに法律上問題のない形に是正することに同意しており、独占禁止法違反の疑いを解消することができると公取委が認めています。

通信キャリアが出していた購入補助金はスマートフォン普及期には意味があったとされますが、スマートフォンが普及した今となっては他社の端末を排除する恐れがあります。これは是正されるべきだったのでしょう。しかしこの是正で補助金が出なくなれば、iPhoneの実質的な販売金額はまた上がってしまうかもしれません。公正な競争は大歓迎なのですが消費者としては複雑です。