ソフトバンクの躍動感と着地できるかの不安感

ソフトバンクは今日にもアメリカ携帯通信第三位のスプリント・ネクステル社の買収を発表するようです。このスピード感はNTTドコモやKDDIにはありません。なぜソフトバンクにはできて上位2社にはできないのでしょうか。

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ここもiPhone 5が主役です

理由は一つです。ソフトバンクは最大の株主が社長をやっているからです。意思決定の責任(株価の上下)を本人が取るから、事前の説明や根回しが少なくて済みます。NTTドコモだと最大の株主、さらに株主の株主(国)にまで説明する必要があります。その説明で「買収の決定で株価が20%下落する可能性が高い」と説明した時、株主はOKを出すでしょうか。まず無理でしょう。

そうした視点で考えると、ソフトバンク以外にスプリントを買収可能な企業は見当たらないのかもしれません。通信で世界を動かす野望に満ちた社長が勝負に出たのか、決断の速い社長の野望に火をつけて死に体の会社を売りつけた証券会社が暗躍したのか、結果が分かるのには3年くらい掛かりそうです。

因にスプリントは赤字企業なので、ソフトバンクがボーダフォンを買収したときのような「被買収企業の将来の収益」を担保に借り入れを行うのは難しそうです。どのようなスキームが出てくるか、注目したいところです。格安の料金プランとiPhoneでソフトバンクは国内市場で一気に存在感を増しました。アメリカではどのような成長戦略を持っているのでしょか、これも非常に注目されます。