CitiグループはAppleが有り余る現金で大型の企業買収へと乗り出す可能性を指摘しています。アナリストが示した買収対象リストには動画配信のNetflix、電気自動車のテスラといった注目企業のほか、ウォルト・ディズニー、エレクトロニックアーツ、Activision Blizzard、Take Two Interactive Software、Huluなどが含まれています。
NetflixでApple TVは大化けするが…
Appleは昨年からApple TVの機能強化に取り組んでいます。米国では「テレビ」アプリをリリースし、Apple TVとiPhone、iPadを一体化して動画コンテンツを楽しむ体制を整えています。ただこの動きは米国に限定されており、日本ではまだまだApple TVの利便性はそれほど高くない状態が続いています。
しかし日本でも第4世代のApple TVになってから、アプリ形式でチャンネル数を増やすことができるようになり、NetflixやHuluなどの動画配信サービスの利用が簡単になりました。Netflixは世界規模でコンテンツの作成を進めるなど勢いのある企業で、Apple TVの魅力をかなり高めている存在にもなっています。このNetflixをAppleが買収すれば、Apple TVはさらに発展するでしょう。
しかし心配な点もあります。Netflixはこれまで独自に規模を拡大してきたからこそ今の地位にあります。それがAppleに買収されてしまうと、Apple Musicに組み込まれたBeatsのように独自の発展を止めてしまう可能性もあります。ここまで成長したサービスにAppleが敢えて手を出すことにもあまり意義を感じません。
買収リストはあくまで可能性
アナリストはAppleが巨額の現金をどう投資するかに主眼を置いてレポートを作成しているのでしょう。リストにあるどの企業を買収するにしても、かなりの投資額となりそうです。しかしこれまでAppleの買収は技術を持つ小さな企業の買収が中心でした。この傾向は今後も継続するのではないかと僕は考えます。このリストはあくまでアナリスト目線からのリストと捉えています。
またAppleはiPhoneの内製化を進めています。これまで外部企業に発注していた部品を将来的に社内で作る方針を取りつつあります。表面化した内製化の動き以外にもプロジェクトが進んでいる可能性はあり、Appleは今後内製化の方針に手元の現金を使う可能性も大いに考えられます。僕としては派手な企業買収よりも、内製化のための技術への投資、研究施設への投資に期待しています。