Appleは13インチMacBook Pro、MacBook Airをリニューアルしたのと同時に12インチMacBookの販売を終了しました。USB-Cポートを一つしか搭載せず、当時のノートPCの常識を覆す製品として話題を集めました。しかし発売から4年、ノートPCを取り巻く環境の変化に伴い販売終了に至ってしまいました。
iPad Proと重複
12インチMacBookは軽量と超薄型が特徴であり、それを達成するため充電ポートを兼ねるUSB-Cポートを一つしか搭載しない、モバイルに振り切ったノートPCとして登場しました(イヤホンジャックはあります)。発表当時、ノートPCにはUSBメモリや外付けドライブ、さらにはプリンターやスピーカー、イヤホンを接続して使うのが一般的であり、USB-Cポート一つじゃ何もできないとしてあまり評判は良くありませんでした。
しかし徐々にクラウド経由でのファイルのやりとり、クラウド上へのデータ保存が普及し、Wi-Fiなどの通信環境が整った場所で使うならUSB-Cポートが一つであることに不便を感じる事は少なくなってきました。12インチMacBookは非常に軽く、気軽に持ち運びできるのも長所であり、その長所を生かして通信環境さえ整っていればどこでも簡単な作業くらいはできるようになりました。
しかし簡単な作業はiPad Proでもできるようなってきたのは事実です。実際、2018年に発売されたiPad Proは性能が大幅に強化され写真や動画の編集などもこなせるようになっており、SmartKeyboardをつければ12インチMacBook以上の仕事ができるようにもなっていました。このあたりから12インチMacBookは立ち位置を失いつつあったのかもしれません。
「ワイヤレス」はiPadが継承
12インチMacBookのコンセプトは「ワイヤレス」でした。USB-Cポートが一つしかないことで、必然的にワイヤレスでなければ何もできないのですが、このコンセプトはiPadにしっかり引き継がれていくでしょう。MacBookだけでなく、iPadでもインターネット共有、AirDrop、iCloud、AirPlay 2、ファイルアプリなどの機能を使えば、ワイヤレスでほとんどのことはできます。
これからはAppleが12インチMacBookで目指した「ワイヤレス」はiPadが目指していくことになるはずです。iPadOSがiOSから独立したことはワイヤレスのための周辺サービス、新機能の登場を大いに助けるでしょう。