通信速度でキャリアを比べる時代は終わったのか?

先日、調査会社が首都高速道路におけるキャリアごとの通信速度測定結果を発表しました(iPhone 6sにおける首都高速、エリア・通信速度実測調査)。数年前なら、このような調査の結果が発表されるとネットメディアがこぞって記事にして、キャリアは店頭での販売促進に大々的に使ってきました。しかし今、通信速度比較調査の結果はあまり注目されません。

iPhone 6sでの測定、最速は下りau、上りソフトバンク

iPhone 6sにおける首都高速、エリア・通信速度実測調査

件の測定は最新のiPhone 6sで最近行われたものですが、測定結果自体に特に新しい情報はありません。最速は下りがau、上りがソフトバンクとなっていますが、下りのキャリアによる差はそれほど大きくなく、最下位のドコモでも平均で25Mbpsを超えます。

上りはauが遅いもののこれも周知の事実で、この手の速度測定結果から得られる情報に目新しさがなくなっています。各キャリアが必死にエリアを構築し、通信品質を向上させた結果、皮肉にも通信速度でキャリアを比較する時代ではなくなってしまった印象です。

速度比較は利用実態と乖離しつつある

普段スマートフォンを使う上で下り速度は10Mbpsもあれば十分です。各キャリアとも平均通信速度はそのレベルをはるかに超えており、そこで他社に比べて1Mbps、2Mbps速いと言われても利用者には響きません。

さらに言えば、25Mbpsの通信速度は快適なのですが、この速度で通信しすぎると、すぐに月間データ通信量の上限に達してしまい、苦痛を感じるほどに低速化されます。もし低速化を避けるなら課金する必要があるのですが、それだと月額料金が大変なことになります。

速度制限される前後のスピードテスト

将来的に、4K動画やハイレゾ音源の音楽をスマートフォンでじゃんじゃん楽しむ時代になれば、通信速度が再び重視される時代になるかもしれません。その時代まで、おそらくあと数年はスピードテストで計測される、時には100Mbpsを超えるような速度をユーザーが使い切れない時代が続くと考えています。