SprintとT-Mobileの合併 「eSIMのサポート」も条件の一つに

アメリカの司法省はSprintとT-Mobileの合併を条件付きですが認めることになりました。その条件として合併してできる新会社と新規参入のDishが「eSIMをサポートしなければいけない」との項目が示されています。eSIMはiPhoneではXS/XS Max、XRで採用され、徐々にサポートする通信会社が拡大しているのですが、司法省がサポートを合併条件としたことでさらに利用者が増加するのは確実でしょう。

eSIMは競争を促進

アメリカの司法省は長くSprintとT-Mobileの合併によって市場の競争が阻害されるのではないかと検証を続けてきました。そしてようやく両社の合併を認めたのですが、合併にはいくつかの条件が付与されました。最も大きな条件はSprintとT-Mobileは資産の一部(周波数帯など)を売却し、新規参入企業を市場に参加させることでした。新規参入はSprintとT-Mobileの合併交渉の脇役として登場してきたDishが名乗りを上げて4社目の通信会社になることが内定しています。

そしても小さいが重要な条件として「合併してできる新会社と新規参入企業がeSIMをサポートする」ことも求められています(現在SprintはeSIMに対応していません)。司法省はeSIMの導入によって、利用者が簡単に他のキャリアへと契約でき、またデュアルSIMを活用した複数キャリアの組み合わせなどを通して市場構造が硬直化することを防げると考えたのでしょう。確かにキャリアとの契約がメールだけで完結するeSIMは契約を流動化させる可能性を秘めており、司法省は非常に重要な条件を課したと評価されています。

日本でも競争のきっかけに

日本国内でもiPhoneのeSIM機能デュアルSIM機能を活用することで、ユーザーの選択肢が広がり、結果として通信会社間の競争促進になると期待されています。先日、IIJが提供を開始したeSIMサービスは簡単に契約でき、すぐに使い始められるサービスとして大いに注目されています。通信速度は混雑する時間帯でかなり低速になるようですが、価格が安いこともあり大手キャリアのサービスと組み合わせて使うことで月額料金の節約が可能とされます。

eSIMデュアルSIMの普及は通信サービスの多様化をもたらすでしょう。日本でもMNO、MVNOにeSIMサポートが義務付けられば新たなサービスの開発につながり、新規参入の楽天モバイルMVNOが市場をかき混ぜてくれるきっかけになるかもしれません。