ソフトバンク孫社長の決算説明会での質疑応答要旨

野村証券「米国のシナジー、20億ドルはソフトバンクの自称じゃないのか?」「国内のスマホ普及率が5割、データの低価格戦略はウィルコム、イーモバイルを活用でいくのか?」
孫社長「ディッシュとの買収合戦で、将来の戦略は言わない方針だったが、既存株主への説得の為に年間2,000億円の経費削減のシナジーに言及。これは初年度は千数百億、4年後に2千億を上回るシナジー効果がある。ウォルストリートで信じてもらえないのは当然だろう。我々は実績で実行する。その時にスプリントの株価に反映されていくと考える。」「国内のスマホはイーモバ、ウィルコムの価格戦略は始めたばかり、イーモバはデータ、ウィルコムはPHSで音声通話で事業を展開していた。これがスマホにシフトするのに、ソフトバンクと相乗効果を出しながらサービスを提供。安かろう、悪かろうではなく安くてもソフトバンククオリティ(いい意味で)を提供できる。料金体系は今後浸透していくはず。ただ2社の位置づけはLCC(格安航空会社)のような位置づけになるだろう。」

日経新聞「4−6月期の代理店手数料の実績と今後」「アリババの上場は影響するか?」「足下の格付け低下で資金調達に影響?
孫社長「代理店手数料は従来の方針と変わらず」「アリババの上場は決定したものではなく、コメントを控える」「格付けは2段階低下を予想していたが、1段階の低下で済んだ。これについては金融機関からも前向きな評価を受けた。バランスのいい有利子負債増加だったため、金融機関からの資金調達は順調、予定よりも調達金利は下がっている」

毎日新聞「世界戦略でスプリントの次?Tモバイル?新興国?」「来年春の消費税増税、料金や販売への影響は?」
孫社長「次は時期尚早なのでノーコメント」「消費税は時期が未確定のため、確定段階で競合他社をみて考える」

東洋経済「ガンホーの連結化の手法について」
孫社長「ソフトバンクはガンホー株を35%の株を持っていた。株を買い増しして40%で連結化。それ以外に弟の議決権がソフトバンク側に委託されたため連結化に至る。」「なぜ今の時期?」「もともと弟にお金を貸していたので、返済ではなく議決権を譲り受けた」

フリー山口「スプリントからWindows端末が7月に出た。日本でもでるのか?」
孫社長「Windowsフォンはスプリントの取り組みをみて、ポジティブなら日本でも。もう少し反応を見て決めたい」

朝日新聞「買収完了直後、スプリントの新料金プランにはソフトバンクは関与したのか?」
孫社長「買収前はテレビ電話で毎週会議、情報交換や意見交換をしていた。あくまでスプリントの経営陣が意思決定を行なっていた。料金プランの最終的なゴーサインはソフトバンク側が出した。」

読売新聞「シリコンバレーの新オフィスはいつから?規模は?端末に関する開発も?」
孫社長「9月から始動したい。既にビルの契約は終わり、内装を整備している段階、規模はビル二つ、巨大ではないが1,000名超の社員が入る。当初は数百人規模で開始。ソフトバンクからの出向、スプリント、協力会社、グループ会社の人員を含める。業務内容は新端末の調達、端末に入れるソフトの開発、ネットワークの接続技術の開発、アクセサリーや周辺グッズ、アプリの開発も。私のオフィスもあるので遊びにきて下さい」

朝日新聞「つながりやすさNo1は信じられない人も7〜8割いる。それをどう理解するか」
孫社長「信じられない人が多くて当然、ソフトバンクユーザーはこれまで繋がりにくかった。ガラケーユーザーは実感が薄いかもしれない。iPhone 5や最近のLTE(総務省的にはAXGP)スマホでは遥かに繋がることは科学的データで分かっている。それ以外のユーザーに繋がるってことが浸透するには時間がかかる。最後は真実が一番強い。地道に広告宣伝、店頭でのプロモーションを繰り返す。カレーを配るのは涙ぐましい努力です」

週刊ダイヤモンド「クリアワイヤのTD-LTEは何ヶ所くらいでサービスインしているのでしょうか?」
孫社長「クリアワイヤのTD-LTEの基地局は順次建設中。現時点でネットワークはまだら模様なので性能が出ない。年内一杯で少し使える地域が増える。来年末には使える地域が増える。また端末も来年末までには増えて来る」

フリー石野「総務省への行政訴訟の目的は?」
孫社長「訴訟の決断はまだ。ただ納得はいかない。百歩譲っても10MHzずつが妥当。こんな状況になるならオークションの方がマシだと思った。3社ともイコールになった段階でオークションがいいと思っていたが、今回のアンフェアな判断ならオークションがいいと思った。こんな割り振りは夢にも思っていなかった。今回は非常に残念で、正式な認可の付与までの間にせめて公開ヒアリング、公開討論の場で意見を戦わす場を設けて欲しい。法的措置も止むを得ないが、今後の影響(出入り禁止などで事業に支障が出る)を考慮して悩んでいるところ。少なくとも許認可を受けた部署に天下りがいること、審議会前に決定事項のような報道があったことに疑義を持っている。今後の電波の割り振りでも同じような不当だと思えることがあれば、経営だけでなくユーザーも困るので声を大にしている。ただ我々は今後天下り(総務省OB)を受けることに賛同しかねる。損はしても正義は貫きたい。いや、損はしたくない。せめて透明性のあるプロセスをと願っている。」