iPhone 14シリーズには通信衛星を介してメッセージを送信する機能がついています。この機能が11月15日から北米で使えるようになり、圏外でも緊急の連絡が可能になると期待されています。
センターを経由
iPhone 14シリーズの衛星通信機能はいつでも誰とでも通話やメッセージの送信ができるわけではありません。利用は緊急時に限られ、あらかじめ用意された質問に答えることで自動でメッセージが生成され、衛星を経由して緊急通信センターのオペレーターに届きます。そこから関係機関へと通報され、救助が開始され医療サービスの手配が始まります。
携帯電話の通信圏外でもメッセージや位置情報の送信ができるため、山岳遭難の救助活動に大いに役立つと期待されています。ただこの機能への過信は禁物です。衛星との通信は不安定で通信環境には条件があります。まず衛星がある方向の空が見えることが必要で、障害物(雲も障害物になります)がない場合で15秒程度の通信時間が必要であり、比較的明るい森の中では1分以上の時間が必要になると説明されています。
谷間や鬱蒼とした森の中、寒さや暴風から避難したシェルター内からの通信は難しいでしょう。さらに怪我をして動けない場合、条件のいい場所への移動は難しく、iPhone 14の衛星通信があれば万全ということにはなりません。確かに衛星通信は遭難対策の強い味方になるのですが、これまでの基本通りできるだけ単独での山行は避け、できれば複数の通信手段を組み合わせて使うのがいいでしょう。
なお12月にはヨーロッパの一部の国でもこのサービスが開始されます。通報中継センターの整備ができるなら、将来的に日本でも衛星通信を使った緊急通報サービスが使えるようになる可能性は十分にあります。