ソフトバンクGのアローラ副社長退任、孫社長と方針に相違?

ソフトバンクグループは明日6月22日に株主総会を控えた今日になってアローラ副社長の退任を発表しました。孫社長の後任としてスカウトされてきた同氏が株主総会直前に退任するのには大きな理由があるはずです。一体ソフトバンクに、アローラ副社長に、孫社長にながあったのでしょうか

相次ぐ株式の売却

ソフトバンクはここ最近、投資してきた資金を回収する動きを強めています。アリババ株の一部売却(約1兆円)、ガンホー株(730億円)の売却、さらには今日発表されたスーパーセル株(7,700億円)の売却と大型の売却が続いています。

これらの売却株式はすべてアローラ氏の就任前に孫社長の判断によって投資されたものであり、もしかするとアローラ副社長からみれば「大きすぎる投資」「不必要な投資」と判断されたのかもしれません。この売却(グループ全体の戦略)に絡むアローラ副社長と孫社長の方針の違いが、今回の退任につながった可能性は大いに考えられます。

孫社長はやっぱり創業者なのか

アローラ副社長によって投資案件が最適化されていく過程で、孫社長は自分の育てたグループが切り売りされるような気持ちになったのかもしれません。合理的にソフトバンクグループの資産割合を考えた場合、アリババ株は比重が大きすぎます。またガンホー、スーパーセルのアプリ企業は今後の発展は見込みにくい状況です。

そこに手をつけたアローラ副社長は経営状態が上向かないスプリントについても何らかの手を打とうとしていた可能性はあります。ただスプリントは孫社長の個人的な夢、野望、プライドのかかった事業であり、譲れない部分でもあります。合理的な実務経営者と創業者の対立といえば簡単ですが、ソフトバンクにもそうした対立構造があった可能性があります。

アローラ氏の業績は

今回のアローラ副社長の退任を受けて、高額報酬をもらっているのに成果がイマイチとの評価もあります。しかしスーパーセルの売却では好条件の買い手を探すことに成功しています。またAppleも出資した中国の配車サービス企業には先回りして投資しています。

また同じ配車サービスとして東南アジア最大に企業にも投資済みです。モバイルインターネットとサービスを結びつける接点として配車サービスに目をつけたのはアローラ副社長であり、その審美眼に狂いはなかったと思われます。Appleも先日のWWDCで中国の配車サービスとiOSの連携を強調していました。アローラ氏が残した投資案件は将来的にソフトバンクに大きな利益をもたらすと考えられます

今後のソフトバンクグループは孫社長が後任を決めずに社長を続けることになります。昔のような直感的な投資で周りを驚かせるソフトバンクが復活するのか、それともアローラ氏に学んだ大人の孫社長のクレバーな投資が続くのか。iPhoneがどのキャリでも取り扱われるようになって特徴がなくなったと言われるソフトバンクですが、まだまだ面白い企業であるのは確かです