最近、国内事業も海外事業(スプリント)も、いまいちパッとしないソフトバンクですが、投資戦略において大きな方針転換が行われているようです。グループ傘下のガンホーの売却を発表し、またスーパーセルも売却交渉中との報道が出ています。
ガンホー、スーパーセル買収時、ソフトバンクは輝いていた
2013年、ソフトバンクはパズドラのヒットで急成長していたガンホーを買収し、さらにフィンランドのアプリ開発企業スーパーセルも買収しました。これに先立ち、米国進出として携帯通信大手スプリントも買収しており、まさに買収で一気に世界企業に躍り出た時期でした。
しかしことはうまく運びません。当初想定していたT-Mobile USの買収協議が行き詰まり、スプリントの再建に苦戦するようになります。またガンホーも成長が期待できる企業とは言えなくなりました。スーパーセルのアプリも同様です。成長が見込めないなら、一旦、売却して現金を得て、それをスプリント再建の資金に回すのは合理的な行動だと思われます。
ガンホーやスーパーセルの売却はソフトバンクが描いていたグループの構図を修正するものと言えそうです。
エンタメ系からライフインフラ系へ
ソフトバンクは多くの企業を買収していますがドリームワークスもガンホーと同様、買収後、短期間に売却されています。おそらくドリームワークスやガンホー、スーパーセルを買収した頃のソフトバンクは、モバイル端末に配信するコンテンツこそが通信事業者の成長の原動力と考えていたのでしょう。
しかしコンテンツ事業は流行り廃りが激しく、自前コンテンツだけでは安定した収益に結びつかなかったと思われます。そこで目をつけたのが、配車サービスです。ソフトバンクは中国やインドで積極的に配車サービス企業を買収しています。
配車サービスはインフラサービスであり、流行り廃りはありません。通信・インターネットとも相性が良く、一度市場のシェアを獲得してしまえば安定的な収益が期待できる事業になりそうです。ソフトバンクは今後、エンタメ系の企業から配車サービスなどのライフインフラ系企業への投資に軸足を移していくと予想します。
"Taxi!" Caught a cab in Beijing this morning with Didi Chuxing's Jean Liu. pic.twitter.com/Sl2xnzXtNY
— Tim Cook (@tim_cook) 2016年5月16日
なおソフトバンクが投資する中国の配車サービス企業にはAppleも出資しています。サービスの成長力だけでなく、インターネットやモバイル通信、スマートフォン、モバイル決済などとの相性の高さがAppleの投資を後押ししたと言われています。