トランプ VS Appleの不毛な争い、形勢はトランプ不利

次期大統領として指名を受けることが確実なトランプ氏iPhoneを米国内で製造させる中国からの輸入に高関税を課す、とAppleの事業モデルの根幹に関わる部分に過激な政策を適用させようとしています。しかしこれら政策は「無意味」になる可能が高いと専門家が指摘しています。(トランプの「iPhone関税」は実現不可能 アナリストらが指摘

中国以外でiPhone製造も

仮にトランプ大統領が中国からの輸入に対して主張通りに45%の関税を課すとすると、iPhoneも当然その対象になります。しかしFaxconnは既に中国国内での製造をいつでもベトナムに移すことができる体制を整えているようです。ベトナムからの輸入となれば特例的な関税を課すことはできません。

トランプ氏は中国からの輸入品の競争力を落とすことで、国内で生産される製品の競争力を高め、製造業の雇用を守ろうとしているようですが、中国製品への関税強化ではこの目的を果たせない可能性が高いと専門家は指摘しています。

Appleとの対決姿勢はオバマ大統領へのライバル心

同じ記事でトランプ氏がAppleに対して強い姿勢(発言)を続けているのには、オバマ大統領への強いライバル心があるのではないかと指摘されています。オバマ大統領も2011年にスティーブ・ジョブズ氏に直接iPhoneの国内生産を打診した過去があります。しかしジョブズ氏は「仕事は戻らない」と返事し、オバマ氏の願いはAppleに却下されました。

トランプ氏はこの過去の経緯を知っているのでしょう。オバマ大統領が成し遂げられなかった「偉業」を自身の手で成し遂げる。そんな目標が設定されている可能性は大いにあります。目に見える形で前政権が実現できなかったことを実現すれば、政権は求心力を得ます。もしそうした目的でAppleトランプ政権の標的となっているとすれば、少し厄介なことになりそうです。