Google「Sign in with Appleは人々をはるかに安全にすると思う」

AppleはWWDCで独自の認証サービス「Sign in with Apple」を発表しました。このサービスについて、競合となるGoogleの認証機能担当のチーフが「この技術はインターネットにとってより良いものになり、人々をはるかに安全にすると思う」と述べるなど業界でもサービス開始は歓迎されているようです。

名前、メアド、識別子のみ提供

ユーザーのプライバシーを重視するAppleは「Sign in with Apple」を使ったID作成時も、アプリ運営者に提供する情報を最低限に抑えています。Appleの説明ではアプリ側に提供される情報は名前メールアドレス識別子のみとされ、メールアドレスもアプリごとに独自に生成されるアドレスを使うことも可能です。独自生成されたアドレスに来たメールは、Apple IDのメールアドレスに転送され、運営者側がユーザーの本当のメールアドレスを知ることはできません

一方で同様のサービスを提供するFacebookはログインID作成時にユーザーの誕生日、出身地、Facebookの「いいね」、友だちのリスト、その他の個人情報を提供することがあるなど、Appleの姿勢とは全く異なります。ユーザーとしてはより強固にプライバシーを守ってくれるサインインサービスが登場したことで選択肢が増えるメリットがあります。

Googleの認証担当チーフはSign in with Appleユーザーのどの情報が運営者に提供されるかが明確になることは良いことだと明言しています。結果としてより多くのユーザーがサインインサービスを使うことは利用者が管理するパスワードの数を減らし、インターネットの世界をより安全なものにするSign in with Appleの開始を歓迎しています。

Googleとは競合

ただAppleはGoogleやFacebookのサインインサービスをiOSアプリが採用する場合、Sign in with Appleも同時に採用することを開発者に求めています。ユーザーに選択肢を提供するというのが建前なのですが、これによってSign in with Appleを使うユーザーが増えればユーザー情報の収集を事業につなげているGoogleやFacebookは事業戦略を修正せざるを得ない状況に陥る可能性はあります。

Appleが目指すプライバシーを重視するインターネットと既に巨額の富を生み出している個人情報が商業利用されるインターネット。どちらが勝つのかはSign in with Appleの成否で決まるのかもしれません。