KDDIが実人口カバー率を使う理由

iPhoneがLTEに対応するという噂で俄然注目を浴びつつある国内LTEサービスですが、その中でも突出したスピードで整備を進めるのがKDDIです。従来の800MHz、1.5GHzだけでなく2GHz帯でもLTEサービスを実施し、さらにサービスインを今年の12月から前倒しするとも発表しています。そして特筆すべきが12年度末(2013年3月末)時点での「実人口カバー率」を96%と計画していることです。

KDDIの基地局
Flikrより、Atsushi Wasabiさん撮影)
KDDIの説明によれば実人口カバー率とは全国を細かくメッシュ化して、そのメッシュ内がサービスエリア圏内なら、同地域の人口をカバー人口としてカウントする、というものです。これは他社が使う人口カバー率とは異なります。人口カバー率は市区町村の役所、出張所(の建物)が圏内であればその自治体の人口をカバー人口として算入できる、というものです。

人口カバー率の欠点はたびたび指摘されるように、数字を稼ぐために役場だけカバーしてしまえばOKという発想になりがちな点です。その点で言えば、より実態に近い実人口カバー率のほうが優れた指標のような気もします。

では、なぜKDDIは実人口カバー率を使うようになったのでしょうか、ヒントは2000年代前半におこった市町村合併にありそうです。この頃、町村は近隣の市と合併されるなどで大幅にその数を減少させ、市の面積を拡大させます。そして、旧役場は○○市××出張所などとして存続しています。これは人口カバー率にとって大いにマイナスです。

旧町村役場は多くの場合、低速で最低限の通話が可能なレベルで圏内が維持されています。しかし、このような場所までLTEサービスを提供しなければ、合併後の市全体の人口が算入できないため人口カバー率は大幅に低下してしまいます。それには多大な投資と時間が必要なため、KDDIは実人口カバー率という新しい概念を採用することでスピード整備を印象付けようとしていると考えられます。

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