「ついに」と言うか「ようやく」、LINEがiPhoneの電話アプリと融合

iOS 10からVoIPアプリがiPhoneの電話アプリと融合します。Appleが提供するCallkitを利用することで、VoIPの着信をiPhoneの電話の着信と同じ表示形式にし、また「連絡先」アプリとも連携します。この機能、大手VoIPがこぞって導入する中でLINEはなかなか対応しませんでした。しかし本日(11月9日)LINEはLINE6.8.5をリリースしてこのiOS 10の新機能に対応しました。

LINE通話の着信を見逃しにくくなる

これまでLINE通話の着信通知はかなり控えめでした。またロック中の着信ではTouch ID(かパスコード)によるロック解除が必要でした。それが通常の電話の着信と同様にワンタップで通話に応対できるようになります。現時点でLINE6.8.5でも通知が不安定な部分もあるのですが、改善されていくはずです。

LINEの役員には音声通話に対してかなり否定的な人がいるようですが、多くのユーザーはLINE通話の不便さ(着信の気づきにくさ)に不満を持っていました。それが今回のアプリ更新で大幅に改善されたことはユーザーとしては喜ばしいことだと思います。また着信・発信歴や連絡先から通話を発信できるので、いちいちLINEアプリを開く必要がありません。これもかなり便利になると思われます。

LINEの事業モデルにはプラスとマイナス

今回LINEがiOS 10の新機能になかなか対応しなかったのは、着信歴や連絡先からLINE通話の発信が可能になってLINEアプリの起動頻度が減ることを防ぎたかったからとも予想しました。確かにiPhoneの機能の一部としてLINEが取り込まれる形になり、見ようによっては飲み込まれたようにも見えます。これはLINEの事業にとっては少なからぬマイナスになるでしょう。

しかしLINEはMVNOとしてLINEモバイル事業を展開しており、LINEを使うときのデータ通信量を月間データ量にカウントしないサービスを実施しています。そのサービスをさらに便利にするのがiOS 10の新機能であり、iPhoneでLINEモバイルを利用していれば通常の電話の感覚でLINE通話をデータ量を気にせずに使えます。

これはLINEモバイルにとって大きなメリットだと思われます。MVNOがどこもよく似た料金、よく似たプランになっている現状で、LINE通話の電話アプリとの融合はMVNOとして他社にはない特徴を出せる部分でしょう。MVNO間の競争でiOS 10の新機能はLINEの大きな武器になる気がします。