iPhone 5発売に前後してLTEの「人口カバー率」という指標がメディアに多く登場するようになりました。もともと3G通信でも人口カバー率は使われていましたが、各社ともに99.9%(ドコモは100%)を達成して以降、他社と差別化できる指標ではありませんでした。この指標がLTEの登場で再び注目されるようになったのが2012年でした。
しかし実際に比較するにしても人口カバー率は各社で算出方法が異なるなど、消費者が純粋にエリアの広さを比較する数字として信頼できないものになっていました。
auやソフトバンクは全国を500メートル四方のメッシュに区切り、そのメッシュをある程度カバーしていればメッシュ内のカバー人口をカバーしたと判定し、カバー人口を日本の総人口で除した数値を「実人口カバー率」として発表していました。またドコモやWCP、UQコミュニケーションズでは市町村の役場と支所、出張所を全てカバーすれば当該市町村の人口をカバー人口とできる方法を採用していました(各社で基準は微妙に違う部分もありました)。
SoftBank 4G LTEは13年6月末で「92%」 |
au 4G LTEは「99%」 |
しかし役所方式を採用した場合、カバー率を上げるだけを目的とした場合、実情とかけ離れた数字をつくれる問題もありました。一部でカバー率稼ぎと言われる基地局の存在が指摘され、数字は一人歩きしてしまっていました。その混乱を収拾するために今回の基準統一に至ったという経緯があります。
統一された人口カバー率算出方法はauやソフトバンクの方式に近く、より実情にあった数字が出てくると期待できます。500メートル四方のメッシュのうち、面積で半分以上カバーできていればメッシュ内の人口を加算、半分未満だと0として人口カバー率を計算します。
ちなみにauではこれまで発表していた数字と大きな変更はないと発表しています。またソフトバンクやドコモも今後は統一基準での人口カバー率を使うと発表しており、近々数字が公表されるでしょう。
しかしエリアと判定する通信品質が各社でマチマチだとすれば、せっかく統一された人口カバー率の算出方法も、結局は骨抜きの数字になりそうな気もします。アンテナピクトが1本で、すぐに3Gに切り替わるような場所もLTEのエリアとしていいのかという問題です。そうした問題を解決するために、せっかくなのでもう少し基準を練った方がいい気もします。