AppleはApple Watchのテクノロジーを利用して睡眠中の悪夢を妨害する取り組みについて説明しています。専用プロファイルNigtWareがApple Watchの各種センサー、振動と連動することで、患者が悪夢をみていると判断すればそれを妨害するとしています。
退役軍人の悪夢
兵士は戦場で強いストレスを受けます。そのストレスは帰還後、退役後も続き、悪夢をみることでの睡眠障害となって表れることも多くあります。その悪夢と睡眠障害に悩まされていたある退役軍人がNightWareの存在を知り、医師の指導の下でこの治療法を試したところ睡眠の質が劇的に改善したとAppleは報告しています。
NightWareはApple Watchのセンサーから心拍数や体の動き、体勢のデータを取得し、そのデータから患者が悪夢をみているかを判断します。患者が悪夢をみていると判定されると、Apple Watchを振動させて悪夢から醒めさせるように動きます。この過程で患者を睡眠から覚醒させることはなく、悪夢をみていないと判定されれば、Apple Watchの振動は止まります。
この退役軍人はNightWare使用開始から2日目で9時間の連続した睡眠がとれ、その間、25〜30回もApple Watchが悪夢に介入した記録が残っていたとの話しています。彼以外にも現役、退役軍人にこの治療法が実施され、多くの患者が睡眠の質が改善したと感じており、また臨床試験でも有効性が示されたとされます。
ちなみにこの治療には専用プロファイルがあらかじめインストールされたApple Watch SEとiPhone SEが使用されるようです。また医師の指導のもとで行われる治療であり、現時点で誰でも使えるものではありません。ただこうした治療で得られたデータやノウハウが将来的に、Apple Watchの睡眠トラッキング機能などに反映されるのかもしれません。