生々しい「キャッシュバック中止」の舞台裏

携帯電話の販売商戦真っ盛りの3月、突如として「キャッシュバック減額」の噂が駆け巡りました。実際に減額の時期は多少ずれたものの、4月以降携帯販売の現場ではキャッシュバックが大幅に減額されるようになりました。このドタバタ騒動の裏には総務省の行政指導が有ったとの噂もありました。

しかし行政指導はなかったはずです。監督官庁からの指導となれば、行政行為となり書類を整え、各段階での決裁を経ることとなり、また公文書として記録が保管されます。総務省が市場競争に行政行為で介入するのは愚策であり、総務省としてもこんな馬鹿げた行政行為はできないはずです。

そこで総務省が採った方法が「スマホ、消えた現金還元 総務省がやんわり指導 (日経)」に書かれています。非常に生々しいやり取りだと思います。通信の将来に関する審議会に「反キャッシュバックの急先鋒」を呼び、「今日は未来のことだけでなく現在の問題にも言及を」とその委員にお願いする。当然、この委員はキャッシュバックの問題点を指摘し、審議会でキャッシュバック問題が提起されます。この審議会の意(有識者の意見)を汲む形で通信キャリアが自主的に問題を是正する。そんな経緯が記事に書かれています。

なんとも利用者をバカにしたやり取りです。キャッシュバックの過当競争を止めたい大手3社が総務省の権威を利用してカルテルまがいの行為に走っただけでしょう。総務省の威光を他社の抜け駆けを防ぐ抑止力に利用しつつ、互いに競争を緩めて自分たちの利益を守る、最低の市場競争を大手3社と総務省がやってくれました。

キャッシュバック減額で通信キャリアの営業費用は大幅に削減されたでしょう。その削減分は形を変えてユーザーに還元されるべきす。その意味でも各社が出すはずの新料金プランではキャッシュバック原資分に当たる1ユーザーあたり月額200円程度の値下げは必要なのではないでしょうか。

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