ソフトバンクのT-Mobile US買収はどーなったんだ?

ソフトバンクの先日の決算報告会で質問が出ていました。ある外資系通信社の記者が「T-Mobile USの買収は進むか」と聞きましたが、孫社長の答えはやはり「ノーコメント」でした。しかしそれに付随して「スプリントが競争するには更に大きなスケールが必要」とも発言し、T-Mobile USの買収に前向きな姿勢を見せています。

質問には「ノーコメント」

また決算報告会を通したテーマとして、「夢、志を持ち続けること」の大切さを強調していて、いかにも更なる攻勢を続けることを意識させていました。このことから、ソフトバンク−Sprint連合はT-Mobile USの買収に向けてあらゆる策を模索していると考えられます。

しかし状況はソフトバンク側に必ずしもよくはなさそうです。

まず電波監理を行なう規制当局は現在のSprint(クリアワイヤ)が持つ周波数の多さを問題としているようです。近いうちにクリアワイアの持つ膨大な周波数を他社に割り振る可能性が報道されています。また買収提案を行なう際に、この電波を手放す条件がつく可能性が高くなっています。

またT-Mobile USの親会社ドイツテレコム側も買収について司法省などの了解が得られるとは考えにくいとの認識を示しています(米当局の早期承認は「困難」 スプリントとの合併でTモバイル親会社)。こうした状況でソフトバンクがT-Mobile USを納得させる買収提案を出す場合、当局側からの反対で買収が成立しなかった際にソフトバンクが払う違約金を多く積む契約になります。これは業績不振のSprintにとって重荷です。

T-Mobile USの買収を巡る状況は、報道を見る限りソフトバンクに不利です。先日の報告会の発言や言い回しから推測すると、孫社長は状況から直球勝負が出来ないことをかっているっぽいです。直球がダメなら変化球も投げる孫社長です。今後の行方を興味深くみています。

現時点でソフトバンクはスプリントの買収でシナジーを発揮できているとは言えない状況です。iPhoneの調達が楽になる、iPhoneに搭載される周波数がソフトバンクに有利になる、と事前に言われていましたが、その効果もあまり見られません。もしかしたら、T-Mobile USの買収完了がシナジー発揮に必要なのかもしれません。

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