厚生労働省は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためにiOS、Androidスマートフォン向けに「接触確認アプリ」を公開しました。このアプリには様々なプライバシー上の懸念があるのですが、技術的にアプリから感染者の個人情報や接触者の情報、行動履歴などが漏れることはありません。しかしそれでも多少心配な点も残ります。
感染者の少ない地域
私の住む地域ではこれまで二人の新型コロナウイルスの感染者が確認されています(お二人とも快復され退院されています)。一人目について性別、年齢、居住地域などが行政から提供され、変な「噂」が広がることはありませんでした。しかし二人目の事例については陽性が判明した病院と性別、年齢だけが公表されただけでした。そのため「実はXXに住む人だよ」、「あのあたりの人が周りの目を気にして遠くの病院にかかって判明した」と言った噂を複数聞きました。
【アプリ公開のお知らせ】
お待たせしておりました「新型コロナウイルス接触確認アプリ」(COCOA)ですが、Android版も公開されました。
下記リンクからインストールいただけますので、皆さま、ぜひご活用ください。■App Storehttps://t.co/U4EOAgxBN3
■Google Playストアhttps://t.co/qIVDh8OZzQ
— 厚生労働省 (@MHLWitter) June 19, 2020
人には感染者(の属性)を特定し、自分に感染の心配がないかを確認したい潜在的な要求があるのでしょう。その結果が噂となって不確かな情報が出回る原因になるのだと思います。そう言う意味で今回の「接触確認アプリ」は一つの安心材料を与えるものになり得ますし、その効果に期待しています(大多数の人が正しくインストールして運用された場合)。しかしアプリから感染者との接触通知が来たら、人は次に「詮索」を始めるのではないかと心配します。
例えば、自分と友人双方に通知が来た場合、共通の行動範囲に感染者がいるとの推測が成り立ち、あの人か?いやあの人か?との詮索が始まるのは確実です。その推測が正しいか正しくないかを問わず「あそこに感染者がいた」などの不正確な情報が広がっていく可能性は大いに考えられます。特に感染者が少ない地域では詮索が詳細な人間関係にまで至る可能性があり、プライバシーが守られるかどうか、少し不安になります。
接触確認アプリがより多くの人に利用されるためにはアプリ利用を通したプライバシーの侵害、不正確な噂の広がりを防ぐのは必須でしょう。そのためにも行政はある程度の情報を正確に住民に提供する必要があると考えます。