Apple SIMでAppleとキャリアの距離に変化?

17日に国内でも販売が始まったApple SIMですが、国内ではauが対応ネットワークを担当しています。これまでソフトバンクとAppleの距離感が近かったことを考えると、少し意外な組み合わせに見えます。

ソフトバンクはiPhoneの取り扱いを独占してきただけでなく、初代iPad発売時にもWi-Fiスポットの利用券を同梱させるなど、Appleの商品には積極的に関わってきました。しかし今回はauでした。

これはAppleとソフトバンク、Appleとauの距離感に変化が出た結果なのでしょうか。僕はそうとは限らないと考えます。今回のApple SIMは技術的な要素やキャリアの戦略が絡み合った結果の成り行きとしてauの担当となったと考えています。

そもそもドコモは既に多くのMVNOにネットワークを解放しています。Apple SIMのメイン顧客である訪日外国人向けにはそのMVNOの格安SIMを使ってもらおうと考えてるのではないでしょうか。空港や量販店で外国人向けのSIMが多く販売され、その大半がドコモのネットワークを使います。ドコモの訪日外国人向けのサービス戦略の一環としてApple SIMを取り込むメリットはあまりなかったのかもしれません。

ソフトバンクはApple SIMで採用されるようなプリペイド形式の料金プランには消極的です。過去にiPad向けにプリペイドプランを提供していたのですが、利用できるのはiPad (3rd)までで、最新のiPadでプリペイドプランは使えません。そうした企業としての営業戦略、技術的なハードルがApple SIMへの対応を見送った原因になっていると思います。また国内契約者のアメリカでのiPad (Air2, mini4)利用についてはアメリカ放題という飛び道具も持っていて、敢えてApple SIMという状況にもなかったのかもしれません。

一方でauは訪日外国人向けに目立ったサービスをしているわけでもなく、プリペイド契約に消極的なわけでもありません。ソフトバンクのアメリカ放題のような飛び道具もありません。そのためApple SIMと自社のサービス戦略との相性が他の2社より相対的に高かったのではないでしょうか。Apple SIM特有の複雑な契約処理など、ハードルをクリアさせるだけのメリットがauにはあったように思われます。

今回のauの対応だけで、AppleとKDDIが蜜月と見るのは危うい気もします。

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