スマート照明のPhilips HueはHue Bridgeにベータ版のファームウェアをインストールすることでスマートホームの新しい規格であるMatterに対応します。私も興味本位でHomeKit対応製品として使っていたHue Bridgeにベータ版ファームウェアをインストールしてみたのですが、現時点ではあまりメリットはなく、逆にデメリットが見えてきました。
Matterのメリットは
AppleやGoogle、Amazon、Samsungなど多数の企業が参加して策定されたスマートホームの新しい規格Matterは10月に最初の仕様が発表され、11月には対応する製品、対応を予定している製品が発表されました。AppleもHomePod miniやApple TVをMatter対応製品のハブとするアップデートを実施するなど、新規格への対応を進めています。
Matter対応製品が多数販売されることになれば、ユーザーは自身が使っているスマートホームプラットフォームを気にすることなく製品を購入できるようになります。またこれまでコンセントはAlexa、照明はGoogle Home、環境センサーはApple Homeなどと複数のプラットフォームが混在する環境を整理できると期待されています。
さらにMatter対応製品は製品同士がThread通信で互いに繋がり、メッシュネットワークを構成します。そのためスマートホーム対応製品が「応答なし」となるケースが少なくなると期待されています。特に対応プラットフォームを選ばずにスマートホーム関連製品を選べることに期待するユーザーは多く、Matterの大きなメリットとなっています。
基本的な互換性
期待の大きなMatterですが、現時点ではメリットはそれほど多くありません。現在、Matterに対応する製品は少なく、来年以降ようやく新製品の販売が本格化してくる予定です。製品が揃わない時点では、Matterがプラットフォームを選ばないという特徴はあまり長所になりません。ユーザーがたくさんのMatter対応製品の中から好きな製品を選べるようになるにはさらに年月がかかるでしょう。
さらにスマート照明のPhilips HueをMatter対応とすることで、一つのデメリットも見えてきました。Philips HueをHomeKit対応デバイスとして使っていた時にはHomeKitの固有機能である適応型照明が使えていました。
しかしMatter対応デバイスとしてホームアプリに登録すると、この機能が使えません。このような例は他のスマートホーム関連製品でも起こり得そうです。Matterは最低限の互換性を確保することを優先して、こうした機能は省略されているのかもしれません。
Matterをうまく使うにはユーザー側の工夫が必要なのかもしれません。