Appleは先週、動画の撮影から編集、加工、共有までを簡単にできるiOSアプリ「Clips」をリリースしました。しかし調査によるとあまり多くの人がダウンロードしたわけではないようです。アプリのリリース時の話題性を利用したスタートダッシュには失敗してしまった可能性があります。
無料ランキングでは圏外に
米国ではリリース直後にアプリランキングで28位を記録したものの、その後順位を下げ、日曜には40位、昨日には69位にまでランキングを低下させています(Apple’s new Clips app downloaded up to 1M times in 4 days, report says)。日本でもClipsは無料アプリランキングでは「圏外」(写真/ビデオランキングでかろうじて22位)になっており、アプリリリースの話題に乗って多くのダウンロードを稼ぐのには失敗したと言っていいかもしれません。
なお世界でのダウンロード数は現時点で100万程度と推計されており、iOSディバイスが数億台存在するにもかかわらず非常に物足りない結果になっています。またダウンロード数シェアは米国がトップで25%、中国が16%でその後に日本、ロシア、香港と続いているとの調査結果が出ています。日本でもClipsは10万程度のダウンロードがあったと推計されます。
ゆっくり追いつくか、iOSにバンドルさせるか
Clipsがスタートダッシュに失敗したことを受けて、今後Appleはどのような戦略を採っていくのでしょうか。iOSディバイスのメリットとして「面白い動画アプリ ”Clips”」をプッシュするならiOS 11に含んでしまうのも一つの方法になるでしょう。そうすれば一気に数千万ディバイスにインストールされることになり、動画アプリのスタンダードになり得ます。
このままClipsがランキングを下げていくなら、Appleが動画共有アプリで主導権を取ることはなく、撮影から加工、共有までInstagramが高いシェアを維持することになるでしょう。ここにAppleが食い込むことを目指すなら、少しずつでもアプリの利便性を改善させてダウンロード数を地道に増やすか、前述のようにiOSにバンドルしてしまうか、いずれにせよAppleの何らかのアクションが必要なのは確実です。
Clipsで撮影 字幕は上手く入る pic.twitter.com/ivriHDOVHZ
— ふーてん (@hu_ten_) 2017年4月7日
Clipsは面白いアプリなので、僕も期待しています。ただ面白い使い方や撮影方法、加工方法がまだ一般的になっておらず、ユーザーも手探りの段階です。どうすれば面白い動画が撮影できるか、そんな情報が共有されればゆっくりでもClipsの普及につながっていくかもしれません。上の動画は試しに撮影したものですが、日本語でも字幕は上手く入ります。これを利用した新しいアプリの使い方が出てくれば、普及のきっかけになるかもしれません。