この前のブログの記事(Amazonに反抗する出版社、Amazonを利用する出版社)で、Amazonの書籍販売に対するポイント付与に反発した中小出版社がAmazonに商品を納入するのを拒否したという出来事に触れました。しかしAmazonはこの措置に全く影響を受けずに事業を続けています。
現在Kindle本に対して「ポイント還元セール」が実施されています。もちろん紙の書籍ではないので再販制度による縛りはありません。なので割引は販売者(配信者)の裁量に委ねられています。そのためKindle本は紙の書籍に比べて10%程安くなっていることが多く、さらにこのセールで10%から30%のポイントが付いて、次の購入からそのポイントが使えるようになっています。
キャンペーン対象商品は2万点を超えていて人気コミックの「進撃の巨人」も対象となっています。同タイトルのKindle版は紙の書籍よりも安く設定されている上に、10〜30%のポイント還元が実施されています。また人気の小説シリーズ(百舌シリーズ)やドラマの原作となった本(新装版 銀行総務特命)などもラインナップされていて、Kindleの裾野を広げるキャンペーンという位置づけに見えます。
もう、なし崩し的に書籍(というか電子書籍)の販売は割引合戦、価格競争に突入しているのでしょう。紙の書籍にこだわらないなら、キャンペーンなどの利用で入手価格はかなり手頃になってきています。閲覧もKindle Fire HDだけでなく、iPad, iPhone, Android端末で可能であり、既に国内に閲覧可能端末は数千万台レベルで普及しています。もう電子書籍への流れは今までにないほど加速し始めています。
この流れを受けて、書籍の流通制度は大きな変更を強いられるのは確実です。前出の中小出版社も含めて、出版社はどの段階で電子書籍に乗り換えるか、判断を迫られる日がそう遠くない将来に訪れます。その時、再販制度の長所、短所が白日の下に晒されることになりそうです。