AirDropはファイルやWebサイトへのリンクなどを他のiOS、iPadOS、macOSをインストールしたデバイスに送信できる便利な機能です。しかし不快な写真を第三者に送信して反応を楽しむようなイタズラが問題になるなど、その便利さよりもデメリットの方が有名な機能でもあります。このAirDropにまた迷惑行為ができてしまう欠陥が発見されています。
iOS 13.3で対処
今回判明したAirDropの欠陥は、悪意のあるユーザーがプログラムなどを利用して周囲のiPhoneやiPadにAirDropでファイルを連続して送信することで、対象となったデバイスを使用不可能に陥れることができるというものです。確かにAirDropでファイル送信の打診があった場合、受信側はポップアップでその許諾を選択するのですが、その間は他の操作が一切できなくなってしまいます。
一度だけの送信なら単なる迷惑行為なのですが、これが無限に続くスパム送信だった場合、相手のAirDrop圏外へと避難しなければデバイス操作が一切受けつけられなくなってしまいます。AirDropの受信設定を「連絡先のみ」としておくことで、他人からの攻撃を防ぐことは可能なのですが、まだこの設定をしていないユーザーも多くいます。この攻撃で個人情報やカード情報などが盗まれるといった実害は出ないのですが、質の悪いイタズラが可能となります。
Appleはあるユーザーからこの欠陥に関する報告を8月に受けていたのですが、iOS 13.3でようやく対処が完了しました。対処の間、Appleは報告したユーザーに対して問題を公表しないように依頼したとされ、この欠陥はそれほど悪用されることはありませんでした。しかしiOS 13.3での対処が完了したことで、欠陥は公開され広く知られた存在になりました。そのためOSのアップデートで対処する必要があります。
AirDropはかなり便利な機能なのですが、その便利さと引き換えにこうしたイタズラが可能になってしまうのは非常に残念です。より安全で快適なファイル送受信手段としてAirDropの改善はさらに進めていってもらいたいところです。