アメリカの電子書籍市場でAppleによる競争阻害行為があったとして、司法省はAppleに対して是正策を提示したとニュースになっています。(CNETニュース:米司法省、アップルの電子書籍価格操作問題で是正案)
是正案は大きく二つの内容を持っているようで、一つはこれまでにAppleが出版社と締結した契約の破棄を求めています。この契約によって出版社とAppleは共謀して電子書籍の価格を不当につり上げていたと認定されてしまいました。
そしてもう一つが注目で、Amazonなど他の電子書籍販売企業がiOSアプリ内で電子書籍を販売する(リンクを掲載する)ことを認めるようにする、というものです。これはAppleのビジネスモデルを根底から揺るがす問題になりそうです。現在、Amazonの電子書籍は、PCで購入したものをクラウドを経由してiOSアプリで閲覧する仕組みです。しかし今後(2年間の時限措置のようですが)、iOSアプリで購入できるようにすべき(iBooksとの価格の違いが直に分かるようにすべき)と是正案に盛り込まれています。そうなればiBookstoreの優位性は殆どなくなってしまいそうです。
さらに、司法省はiTunes StoreやApp Storeでも同様の競争阻害がないように、裁判所に監視を行うよう要請しています。これまで音楽やアプリの販売価格を属最適に決定してきたAppleにとって最大の危機になる可能性があります。アプリ価格は常にAndroidとの競争に晒され、iOS向けだけ高い価格で販売することはできなくなるようです。
なおAppleはこの是正案に対して「極めて厳格で懲罰的な」介入であり、必要以上に厳しく、消費者や競争の観点から悪影響をもたらす」と反論しています。