この前読んだKindleの電子書籍「新撰組顛末記 (新人物文庫)」ですが、単行本の価格が1,890円で文庫本が700円、Kindle版が571円という価格構成でした。文庫本に比べてKindle版が少し安いのは紙版との流通経費や印刷、製本費用の違いを考えると妥当だと思います。また本には中古品市場もあり、Amazonで同タイトルの中古本(文庫版)が162円、送料込みで412円で購入できます。
4種類(単行本の中古も入れれば5種類)の価格 |
結果として四つの価格が同じコンテンツに設定されています。本質的には同じものにこれだけの種類の価格が設定されているのは珍しいと思います。でも、利用者はそれぞれ自分の用途に合わせて、価格を選べるようになって便利になったと思います。
安く手に入れたい人は中古の文庫本、今すぐ読みたい人は電子書籍版、愛蔵版にしたい人は単行本、と価格と本の形態を使い分ければいいと思います。
面白いのは中古価格よりもKindle価格の方が高いことです。中古の文庫本もKindle版も、その価格は純粋にコンテンツの価格に近い値段と考えられますが、Kindle版にはKindleだけでなく、iPhoneやiPadなどで同期して使える利便性があります。この便利さが価格に付加された結果、中古本よりもKindle版が高くなっているのかもしれません。仮にその利便性が認められなければ、Kindle版は中古市場に圧され、価格をさらに下げる必要が出てくるでしょう。
出版社とAmazonの協力、競合関係だけでなく、新品市場、中古市場、電子市場の勢力争いも面白いと思って見ています。